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2020 年度 実績報告書

海洋底探査を加速する自律操船AIの開発と実海域探査での実証

研究課題

研究課題/領域番号 20H00284
研究機関大阪府立大学

研究代表者

橋本 博公  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30397731)

研究分担者 青木 尊之  東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (00184036)
松田 秋彦  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(神栖), 主幹研究員 (10344334)
島 伸和  神戸大学, 理学研究科, 教授 (30270862)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード深層強化学習 / AI / 自動操船システム / 実船実験 / 模型実験 / CFD / GPU / 海洋底探査
研究実績の概要

本研究では,気象海象が複雑に変化する状況下において,海洋底探査に課せられた高度ミッションを達成するための自律操船AIの開発を行う。今年度の研究実績の概要は以下の通り。
①深層強化学習を用いた自律避航AIの開発を行った。自船および周辺他船・障害物を入力として,衝突リスクの評価と衝突回避行動を出力するAIを開発し,これと既存のオートパイロットを組み合わせることで,目的地に向かって航行しつつ,衝突危険がある場合には適切な避航行動を行う自動操船システムを構築した。本システムの有効性を検証するため,神戸大学附属練習船「深江丸」を用いて大阪湾にて実証実験を行い,多数の船舶が行き交う輻輳海域においても,AIをコア技術とする自動操船により,衝突回避と目的地への航行が達成されることを確認した。
②航行中の船舶に作用する流体力の高精度推定を実現するため,気液界面や複雑な船体表面形状に対して効果的な適合格子細分化(AMR)法を用いた流体力のCFD推定を試みた。実存する調査船の縮尺模型を用いた抵抗試験を2度にわたって実施し,CFD計算との比較を行った結果,現状のCFDでは高速域での抵抗値が過大に評価されることを確認した。
③水産技術研究所神栖拠点の海洋工学総合実験棟において,トータルステーションにより取得される船体位置や模型船内の各種センサーで取得されるアクチュエータ値を陸上サーバに集約できるように実験システムの改良を行った。これにより,次年度以降に実施を予定している,AIによる自律操船の模型実験を可能とした。
④一般的な商船では,プロペラやサイドスラスタなど各アクチュエータへの外部からの直接指令が困難である。このような船舶に対してもAIによる操船支援を導入可能とするためのマンマシンインターフェースの仕様について検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は自律避航を行うAIとオートパイロットを組み合わせることにより,自動操船システムを開発し,実海域において実船を用いた実証実験を実施することができた。これと並行して開発を進めている測線に沿ったグリッド走行ならびに外乱下での定点保持を行うAI開発についても特段の問題は生じておらず,計画通りに研究が進展している。

今後の研究の推進方策

今後は,グリッド走行および定点保持を行うAIを開発し,自走式模型船を用いた水槽試験によりその有効性を検証する。また,実船実験の実施に向けて,船内でのセンサー情報の集約やAI搭載PCとの通信,AIからの指示を乗組員に効果的に伝えるマンマシンインターフェースの準備を進めていく。

備考

橋本博公,人工知能をコア技術とする内航船の操船支援システム開発,国土交通省第5回交通運輸技術フォーラム,ポスター発表,2021
橋本博公,深層強化学習による自律操船システム,日本船舶技術研究協会未来塾報告書(寄稿),2021

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Large-scale flow simulations using lattice Boltzmann method with AMR following free-surface on multiple GPUs2021

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Seiya、Aoki Takayuki
    • 雑誌名

      Computer Physics Communications

      巻: 264 ページ: 107871~107871

    • DOI

      10.1016/j.cpc.2021.107871

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Kikai Submarine Caldera Project - Investigations on Mechanism of Super-eruption2021

    • 著者名/発表者名
      Seama Nobukazu
    • 雑誌名

      Marine Engineering

      巻: 56 ページ: 139~143

    • DOI

      10.5988/jime.56.139

  • [学会発表] 深層強化学習を用いた船舶の自動避航に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      橋本博公
    • 学会等名
      日本船舶海洋工学会 情報技術研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 弱圧縮性計算手法による非圧縮性の混相流シミュレーション2020

    • 著者名/発表者名
      青木尊之
    • 学会等名
      日本流体力学会 第34回数値流体力学シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 鬼界海底巨大カ ルデラ火山における二重カルデラ形成過程の解明 ―新青丸 KS-19-17 航海概要報告―2020

    • 著者名/発表者名
      島伸和、清杉孝司、中岡礼奈、松野哲男、金子克哉、清水賢、鈴木桂子、岡本信行、羽入朋子、井和丸光、阿部俊輔、佐野守、木村純一、杉岡裕子、巽好幸、羽生毅、新谷毅、益田晴恵、亀尾桂、沖野郷子、榎正憲、石塚治
    • 学会等名
      海と地球のシンポジウム2020

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公開日: 2021-12-27  

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