世界規模の全モード統合型国際物流シミュレーションシステムの構築と政策分析への応用

2022 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20H00286
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 柴崎 隆一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50323514)
• 研究分担者: 杉村 佳寿 九州大学, 工学研究院, 教授 (00356049) ; 和田 祐次郎 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 主任研究員 (20804595) ; 渡部 大輔 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30435771) ; 新井 洋史 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), 調査研究部, 部長 (30551402) ; 川崎 智也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (30705702) ; 村上 進亮 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40414388) ; 松田 琢磨 拓殖大学, 商学部, 教授 (40882535) ; 坪田 建明 東洋大学, 国際学部, 教授 (50546728) ; 鳥海 重喜 中央大学, 理工学部, 准教授 (60455441) ; 加藤 浩徳 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70272359) ; 青山 和浩 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80222488)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 国際物流 / ネットワーク / インターモーダル輸送 / AIS / 国際貿易

研究実績の概要

①国際物流シミュレーションシステムの高度化：GTAP-RDモデルを用いた貿易パターン変化予測モジュールを構築し，インターモーダル国際物流モデルとの一体運用による将来シミュレーションシステムを構築した．また，AISデータ，コンテナ船サービスデータおよび税関データを活用して，港湾混雑のメカニズムを待ち行列モデルにより表現したうえで，インターモーダル国際物流モデルを時間軸を考慮した時空間モデルへと拡張し，混雑による船舶航行スケジュールの遅延を考慮可能なモデルを構築した．
③AIS等の船舶動静データを活用した全世界を対象とした貨物流動の詳細分析：①で述べた港湾混雑分析に加え，港湾の衛星画像とAISデータを組み合わせた港湾オペレーションの分析，世界海運ネットワークにおけるチョークポイントのひとつであるスエズ運河を対象とした機械学習による船舶通航量の予測モデルの構築，LNG燃料バンカー船を対象としたバンカリングオペレーションの分析を行った．
⑤構築したモデルの世界各地への適用（政策シミュレーション分析）：日本の背後圏輸送を対象とした複数の将来の脱炭素シナリオに基づくモーダルシフトシミュレーションを実施し，脱炭素技術の進展によっては鉄道や船舶へのシフトが進まない可能性があることを示した．またアフリカ大陸を対象とした同様の将来シミュレーションも実施した．さらに，ロシア・ウクライナ戦争により従来の中欧班列ルートの利用に支障があるなかでより注目の集まる中央アジア・カスピ海ルート（Middle Corridor）の改善シナリオについて検討し，利用が促進されるための条件を整理した．

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度まではコロナ禍のため現地調査が実施できず，「(3)やや遅れている」という自己評価であったが，2022年度はアフリカおよび南アジアの現地調査を実施することができ，一部は2023年度へ持ち越すこととなったものの，概ね遅れを取り戻すことができたと考えている．現地調査を必要としない他のテーマについては概ね順調に推移している．

今後の研究の推進方策

2023年度は最終年度であることから，個別のテーマについて残された課題や構築した手法の改善・高度化を実施するとともに，世界各地を対象とした政策シミュレーション分析への適用と成果の取りまとめに注力する．特に継続してシミュレーションを行う地域としては，北極海航路を含むユーラシア大陸全域および中央アジア・コーカサス・黒海沿岸地域，インドを中心とする南アジア地域，およびアフリカ地域である．また，成果を広く発信するために国際セミナーを開催したい．

研究成果

• [雑誌論文] Data-driven framework for extracting global maritime shipping networks by machine learning (2023)
  • 著者名/発表者名: Liu Lei、Shibasaki Ryuichi、Zhang Yong、Kosuge Naoki、Zhang Mingyang、Hu Yue
  • 雑誌名: Ocean Engineering 巻: 269 ページ: 113494～113494
  • DOI: 10.1016/j.oceaneng.2022.113494
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] 海上物流ビッグデータを用いた ケープサイズバルカー市況の予測に関する研究 (2022)
  • 著者名/発表者名: 和田祐次郎, 平山大貴, 濱田邦裕, 渡邊大介, 五十嵐祐介, 間島隆博
  • 雑誌名: 海運経済研究 巻: 56 ページ: 1-9
  • 査読あり
• [学会発表] Logistics Cost Calculation in the Global Logistics Intermodal Network Simulation (GLINS) Model; Focusing on South Asia (2023)
  • 著者名/発表者名: Ryuichi Shibasaki
  • 学会等名: Workshop on Logistics Cost Framework (hosted by Ministry of Commerce and Industry of India & Asian Development Bank)
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] インターモーダル国際物流モデルを用いた日本の背後圏コンテナ輸送を対象とした将来のモーダルシフトシミュレーション (2023)
  • 著者名/発表者名: 松山竜太郎・柴崎隆一・杉村佳寿・Trang Tran
  • 学会等名: サービス学会国内大会
• [学会発表] 海上物流システムと海運ビッグデータ (2023)
  • 著者名/発表者名: 柴崎隆一
  • 学会等名: 人工物工学コロキウム07 _2022「SDGS時代の物流システムのデザイン」
  • 招待講演
• [学会発表] Impact analysis of future logistics policies on international container cargo flows in inland SASEC area (2022)
  • 著者名/発表者名: Koki Kawachi, Ryuichi Shibasaki
  • 学会等名: 9th International Conference on Transportation and Logistics (TLOG 2022)
  • 国際学会
• [学会発表] Modelling structural changes in intra-Asian maritime container shipping networks considering their characteristics (2022)
  • 著者名/発表者名: Keigo Shibuya, Ryuichi Shibasaki
  • 学会等名: 9th International Conference on Transportation and Logistics (TLOG 2022)
  • 国際学会
• [学会発表] Development of multicommodity-type global logistics intermodal network simulation model including both containerised and dry bulk cargo (2022)
  • 著者名/発表者名: Naoki Kosuge, Ryuichi Shibasaki, Koki Kawachi, Hirofumi Arai, Takefumi Nakamura, Lei Liu
  • 学会等名: 9th International Conference on Transportation and Logistics (TLOG 2022)
  • 国際学会
• [学会発表] Policy simulations for the rail freight transport between China and Europe considering competition with air and maritime transport (2022)
  • 著者名/発表者名: Takefumi Nakamura, Daisuke Watanabe, Ryuichi Shibasaki, Hirofumi Arai
  • 学会等名: 9th International Conference on Transportation and Logistics (TLOG 2022)
  • 国際学会
• [学会発表] Comprehensive Evaluation of Vessel Movement Data Reliability (2022)
  • 著者名/発表者名: Dimas Angga Fakhri Muzhoffar, Yujiro Wada, Kunihiro Hamada, Takumi Kamata, Daisuke Watanabe, Yusuke Igarashi, Takahiro Majima
  • 学会等名: 9th International Conference on Transportation and Logistics (TLOG 2022)
  • 国際学会
• [学会発表] Development of a Shipping Market Forecasting System Using Vessel Movement Data and its Practical Application (2022)
  • 著者名/発表者名: Yujiro Wada, Kunihiro Hamada, Hiroki Hirayama, Takahiro Majima, Daisuke Watanabe, Yusuke Igarashi
  • 学会等名: 20th International Conference on Computer Applications in Shipbuilding (ICCAS2022
  • 国際学会
• [学会発表] Congestion Analysis of Container Terminal using Satellite Image and AIS Data (2022)
  • 著者名/発表者名: Kodai Yasuda, Ryuichi Shibasaki, Riku Yasuda
  • 学会等名: Annual Conference of International Association of Maritime Economists (IAME 2022)
  • 国際学会
• [学会発表] Extraction and International Comparison of Bunkering Operations Based on AIS Data (2022)
  • 著者名/発表者名: Eisuke Watanabe, Ryuichi Shibasaki
  • 学会等名: Annual Conference of International Association of Maritime Economists (IAME 2022)
  • 国際学会
• [学会発表] AIS-Based Geographic Analysis and Loading Place Selection Modelling in the Dry Bulk Spot Shipping (2022)
  • 著者名/発表者名: Liwen Murong, Ryuichi Shibasaki, Tran Thi Thu Trang
  • 学会等名: Annual Conference of International Association of Maritime Economists (IAME 2022)
  • 国際学会
• [学会発表] Analysis of future international trade and logistics in Africa: Considering major risks and opportunities in the post COVID-19 world (2022)
  • 著者名/発表者名: Hiroyuki Fukushima, Masahiro Abe, Ryuichi Shibasaki, Lucas Alves, Yuki Takada, Hitoshi Onodera, Masahiko Furuichi
  • 学会等名: Annual Conference on Global Economic Analysis
  • 国際学会
• [学会発表] ITF Research Works and their Relevance for Asia from a Digitalisation Viewpoint (2022)
  • 著者名/発表者名: Ryuichi Shibasaki
  • 学会等名: ITF Research Work and Opportunities for Collaboration
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] A Data-driven Framework for Extracting Global Maritime shipping Networks by Machine Learning (2022)
  • 著者名/発表者名: Lei Liu, Ryuichi Shibasaki, Yue Hu
  • 学会等名: 土木計画学研究発表会
• [学会発表] Logistics Analysis using Maritime Big Data (2022)
  • 著者名/発表者名: Ryuichi Shibasaki
  • 学会等名: 2nd International Symposium on Sustainable Logistics and Circular Economy
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] ドライバルク貨物を含むインターモーダル国際物流ネットワークモデルの構築 (2022)
  • 著者名/発表者名: 小菅直樹・柴崎隆一・新井洋史・中村武史
  • 学会等名: 土木計画学研究発表会
• [学会発表] AIS データに基づくバンカリング・オペレーションの推計と国際比較 (2022)
  • 著者名/発表者名: 渡邊英介・柴崎隆一
  • 学会等名: 日本船舶海洋工学会全国大会
• [学会発表] 衛星画像とAISデータに基づくコンテナターミナルにおける混雑度の推計と分析 (2022)
  • 著者名/発表者名: 安田広大・柴崎隆一
  • 学会等名: 日本船舶海洋工学会全国大会
• [学会発表] 船舶動静情報を活用した海運市況予測システムの構築とその実用化に関する研究 (2022)
  • 著者名/発表者名: 和田祐次郎, 平山大貴, 濱田邦裕, 五十嵐, 祐介, 渡邊大介, 間島隆博
  • 学会等名: 日本船舶海洋工学会全国大会
• [学会発表] 船舶動静データの信頼性の総合的評価に関する研究 (2022)
  • 著者名/発表者名: 和田祐次郎, 鎌田拓実, 濱田邦裕, 五十嵐祐介, 渡邊大介, 間島隆博
  • 学会等名: 日本船舶海洋工学会全国大会
• [学会発表] 海事産業における SDGs 達成のための SD モデルの開発 (2022)
  • 著者名/発表者名: 和田祐次郎, 山村巽, 濱田邦裕, 和中真之介, 川北千春
  • 学会等名: 日本船舶海洋工学会全国大会
• [学会発表] 港湾を中心としたサプライチェーン課題における課題解決へのアプローチとデータの利用の考え方 (2022)
  • 著者名/発表者名: 柴崎隆一
  • 学会等名: NEDO Supply Chain Data Challenge 第1回ワークショップ
  • 招待講演
• [備考] 東京大学柴崎研究室HP
  • URL: http://webpark1967.sakura.ne.jp/shiba/