Cr-Si-Ta三元系の1400℃及び1600℃等温断面状態図を実験により決定した。Cr-Ta系における知見を利用し、同様の条件で各温度での平衡化熱処理を行ってEPMAにより各相の濃度分析を行った。本三元系には複数の三元化合物が存在することが判明した。同様の三元化合物がCr-Si-Nb三元系に存在することが報告されており、この点において類似性が見られた。また、Cr3Si相にはTaはあまり固溶せず、一方、Cr2Ta相にはCrを置換する形でSiが多量に固溶することがわかった。この三元系状態図は過去にほとんど報告が無く、新規性のある状態図情報を得ることができた。また、Cr-Si-Co三元系状態図の実験的決定も行うことができた。 さらに、CALPHAD法による計算状態図に取り組んだ。決定した状態図を基に熱力学解析を行い、Cr-Si-Ta系におけるCr固溶体相、Cr3Si相、Cr2Ta相、液相間の状態図を計算により描くことができるようになった。一変系、不変系反応に着目してミクロ組織を観察し、計算により共晶反応を正確に予測できることを検証した。 この計算状態図を利用し、Cr固溶体にCr3SiやCr2Taが強化相として存在する二相や三相合金の相分率、共晶割合を考慮した合金設計を行い、ミクロ組織観察と高温圧縮試験を行った。その結果、高温強度は化合物相の体積分率と相関があり、Cr2Ta相よりもCr3Si相がより高温強度を高めていることがわかった。また、共晶組織も強度向上に寄与していることが示唆された。 以上より、状態図を基にCr-Si-Ta系耐熱材料の合金設計が可能となり、新規耐熱材料開発の可能性が見出された。
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