本研究では、局所的には異なる変形挙動を示す軟質ドメインと硬質ドメインがナノ・ミクロ組織中に共存する金属材料が、しばしば強度と同時に延性も併せ持ち、全体として優れた力学特性を示す理由を明らかにすることを目的とする。特に組織制御された二相鋼の変形挙動を、デジタル画像相関法や引張変形中のその場放射光X線回折などの先端的手法で解析する。 古くから実用され研究されている二相金属材料を対象に、結晶粒の超微細化を取り入れることで予想外の延性と強度向上が達成されることを示すことは新規性が高く、その機構を、硬質軟質ドメイン間の相互作用に着目し解明していく点は学術的にも意義が高い。国際的にも関心の高いテーマであり、革新的構造材料の開発の一つの方向性を示す社会的にも波及効果の大きな研究である。
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