研究課題
本研究は、透過電子顕微鏡法を駆使して、鉄における微小点欠陥集合体である「欠陥同素体」についての基礎的問題を解明することを目的とする。本研究は、点欠陥が導入される幅広い過程における微細組織発達を理解する上での基盤となるものである。本年度は、鉄合金における「欠陥同素体」を透過電子顕微鏡によって観察するために必要な実験条件を調べた。微小な「欠陥同素体」を観察するには、試料表面の酸化膜をほぼ完ぺきに除去する必要があることを明らかにした。高真空もしくは還元ガス環境において高エネルギー電子ビームを鉄合金へ照射し、ビームエッチングによる試料表面の酸化膜の剥離が起こり得る照射条件の実現に成功した。その結果、鉄合金における酸化膜の剥離プロセスおよび「欠陥同素体」の生成・成長プロセスの高分解能観察に成功した。
2: おおむね順調に進展している
本年度までに、鉄合金における、「欠陥同素体」を透過電子顕微鏡によって高分解能観察するために必要な実験条件を見出すことに成功した。また、微小点欠陥集合体と転位の相互作用を調べるための基盤を構築した。
引き続き、鉄合金における微小点欠陥集合体の生成・成長プロセスおよび微小点欠陥集合体と転位間相互作用の透過電子顕微鏡観察を進める。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 6件) 備考 (1件)
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