研究課題
本基盤研究(A)の目的は、ダイヤモンドにおける室温での高キャリア濃度を確保できない欠点を解決する原理手法として、(1)ヘテロ(異種)接合窒化アルミニウム(AlN)からのキャリアドーピング、および(2)ナノラミネート酸化物薄膜の巨大誘電率効果を利用して、高濃度キャリアを確保・制御する原理の実証とともに電界効果トランジスタを作製することにある。2023年最終年度は、昨年度計画した点を踏まえ、開発および確立した手法を用いて以下の通り進めた結果、研究実績は以下の通りまとめられる。(1)有機金属化合物気相成長(MOVPE法)によるMgドープAlNの酸素終端ダイヤモンド基板上への成長は、1100℃程度で進めたがダイヤ界面近傍に発生する高密度転位が影響してダイヤモンド側への十分な正孔発生は得られなかった。引き続きMOVPE成長条件を検討するともに転位密度減少方策含め検討を継続する予定である。(2)他の方法として、ダイヤモンド/MgドープAlN作製のために、原子層堆積法及びスパッタリング法を用いて、ダイヤモンドエピ基板上にAlN/MgO/AlNの3層構造を作製し、800℃以上の熱処理からMgドープAlN(O)の作製を試みた。その結果、800℃の熱処理ではAlN/MgO/AlN構造は絶縁性であり、1200及び1400℃の熱処理後に10kOhm/sqの導電性に変化した。(3)熱処理AlN/MgO/AlN構造をゲート構造及びTiAuをソース、ゲート、及びドレイン金属電極とした電界効果トランジスタを作製した。結果としてダイヤモンド側への正孔発生は確認できずトランジスタ動作の実証はできなかった。ダイヤモンド上へのアクセプタとして振る舞うMgを添加したAlN層を作製する手法の探索は今後も進める予定である。(2)昨年度詳細に調べた原子層堆積(ALD)法を用いたTiOx[x nm]/AlOy[y nm](x,y < 1nm)ナノラミネート膜を用いてダイヤモンドFETおよびキャパシタを作製し、トランジスタ特性の高性能化を進めた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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