研究課題
増殖制御の基盤構築と重要な前駆体を蓄積する菌株の構築を進めた。キシロースを炭素源とした増殖制御系を野生株および改変株にそれぞれ導入し、炭素源で増殖を評価した。増殖速度の違いは単純に導入した経路の活性に依存すると思われたが、中間体の蓄積量が一致せず、経路の導入により代謝ネットワークが別途活性化されている可能性が示唆された。この可能性のあるポイントをいくつか破壊していくことで増殖経路をスムーズに流す方向性が見出された。興味深いことに、内在のキシロース資化経路のなかでも、代謝酵素ではなく取り込み、及び変換反応に関与する酵素の発現が代謝全体に影響を与えていることが新たに見出された。また、野生株に比べるとその増殖能の低下が見られたが、炭素源の取り込みを改善することで回復できる可能性が示された。これは、先述のキシロース資化経路との相乗効果があることも新たに判明した。これは、遺伝子改変によりこれまで抑制されてきた制御系が発現している可能性を新たに示すものであり、増殖機構の解明に大きく寄与できる。前駆体においては、アセチルCoAを基本とする各種CoAについて検討を行った。アセチルCoA、マロニルCoA、などのCoA群を評価するためにモデル化合物の生産系を構築した。グルコース及びキシロースを炭素源として増殖と生産をそれぞれ制御し、どのパラメータが鍵となるかを評価できる系を構築した。解糖系の上流の前駆体においてもモデル化合物の生産系を構築し、増殖と生産を別々に制御できる評価系を構築した。これらの系を用いて有用化合物生産の向上に成功し、基盤技術として確立することができた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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