四量体タンパク質であるヘモグロビンのアロステリック転移は、その機能発現の根幹をなすものであるが、これまで転移過程は直接観測されていなかった。本研究は、研究代表者のこれまでの研究成果をベースに、自身が開発した金ナノ結晶を用いたX線1分子追跡法を利用し、ヘモグロビンの分子内アロステリック動態を直接観測し、複雑な分子内部の変化を解明することを目的としている。 この計測法が確立されれば、ヘモグロビンだけでなく他のタンパク質分子が関連分子と結合する際の分子構造の過渡変化の計測へと展開でき、タンパク質の詳細な機能解明が進展するなど波及効果が大きいと期待できる。また、分子の結合過渡特性の解明に基礎的な知見を付与すると考えられ、学術的にも重要な研究である。
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