研究課題
本年度は、前年度までに確立した多重微小界面を安定に形成可能なマイクロ流体デバイス及び微小界面コントロール技術を用いて、実際の化学合成反応を行い、従来法では困難であった化合物の合成や結晶成長を試みた。また、新規に確立中のin situでの観察技術を用い、化学反応の進行の様子をマイクロ流体デバイス中で観察し、化学反応の遷移状態を解明することを試みた。具体的な研究成果は以下のとおりである。①多重微小界面を利用した化合物の合成:前年度までに開発したマイクロ流体デバイスを用いて従来法では困難な化合物の合成と単離を試みた。単離にはマイクロ流体デバイス内での結晶化法やマイクロドロップレットのテーリングを応用した界面分離手法を新たに開発した。②多重微小界面を利用して合成した化学物質の、マイクロ流体デバイス内直接紫外蛍光観察技術を応用した化学反応過程の解明:IN LINE型紫外蛍光観察装置を新規に開発し、これを用いて従来手法では観察が不可能であった化学合成反応の遷移状態の観察を行った。フォトマルを応用した新規装置での観察により、マイクロ流体デバイス内でのリアルタイム紫外蛍光の計測に成功した。③多重微小界面反応の優位性のメカニズムの解明:これまでの研究により、多重微小界面での化学反応が従来法に比較して格段に速いことが判明しいている。この理由を今まで拡散律速の考え方で解釈していたが、シミュレーションの結果等を見ると、もう一段原理の追及が必要なことが示唆されている。よって、閉じられた反応系のサイズ効果がどの程度あるのかの検討を行った。この結果、必ずしも反応系が小さいほど化学反応が早く進むわけではなく、反応種により最適な反応場のサイズが有ることが示唆された。この結果は反応場の大きさによっては、化学反応に拡散律速以外の要因が大きく作用することを示唆している。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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