分子分解能をもつ原子間力顕微鏡を利用して、生きた細胞の状態を観測する試みである。微小な開口部を持つメンブレンを細胞表面に接触させて細胞膜を支持し、その開口部に露出した細胞表面を観察する。これにより膜の揺動や膜内分子の流動を抑制し、タンパク質動態を十分な時空間分解能で捉えることを目指している。また、開発した技術を分子レベルのがん研究に応用することも計画している。 生きた細胞表面を観察することは、多様ながん細胞をはじめ細胞と薬液との相互作用を解明する上で極めて重要であり、その学術的意義は高い。また、本手法による観察が実現されれば、薬剤耐性を克服するがん治療法の開発につながることが期待される。
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