本研究では、生細胞表面を高分解能観察するための原子間力顕微鏡(AFM)技術を開発した。この技術では、直径数ミクロンの孔を多数有する窒化シリコン薄膜の上に細胞を培養し、その孔に露出した細胞基底面をAFM観察する。これにより細胞膜の揺動や膜内の分子拡散が抑制され、数nm程度の分子スケール観察が可能となった。さらに、本技術を用いることで、生細胞と化学固定された細胞の表面構造をナノスケールで比較することで、一般に使われる化学固定法ではタンパク質が凝集してしまうため、分子スケールの細胞表面構造は大きく変化してしまうことを明らかにした。その他に、MET受容体が細胞表面構造に与える影響なども明らかにした。
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