研究課題/領域番号 |
20H00353
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
竹内 哲也 名城大学, 理工学部, 教授 (10583817)
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研究分担者 |
亀井 利浩 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (90356824)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 面発光レーザー |
研究実績の概要 |
本研究では、「大口径・高出力青緑色面発光レーザーの開発」として、高出力化(30 mW)、発光径大口径化(30 um)、発振波長の長波長化(500 nm)、そして、これらを高い再現性で実現することを目指している。そのためには、導電性DBR、AlInN酸化層、GaN基板上高InNモル分率GaInN量子井戸、低抵抗トンネル接合、その場反射スペクトルによる共振波長制御の確立が必須である。 今年度、導電性AlInN/GaN DBRにおいて水素クリーニングあるいはAlGaN組成傾斜層の導入により転位を一桁減らすことが可能なことを実証した。次に、AlInN横方向酸化では、その遅い酸化速度やクラックの発生により形成が難しいことが判明した一方、表面からの酸化による電流狭窄型LEDを作製、動作実証した。また、GaN基板上GaInN量子井戸の成長条件最適化が進み、GaN基板上緑色(波長517nm)LEDを実証した。一方で、量子井戸構造バリア層の形成に伴い欠陥が形成され、発光強度が著しく低下することも判明した。その場反射スペクトル測定装置導入により、屈折率の温度依存性という基本情報を明らかにするとともに、共振器内活性層位置のずれ、ITO電極位置のずれを成長中に観測できる目途がついた。大口径化に必要な均一注入可能なITO電極実現に向けて、ITO形成の最適化を行った結果、抵抗率が現状の半分、光吸収も半分になるITO形成条件を確立できた。また、GaNトンネル接合のその場Mg活性化手法もある程度確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
導電性DBR、その場反射率スペクトルによる共振器制御、大口径用ITO電極での進展は当初の計画以上の成果が得られた。また、AlInN横方向酸化は困難であった一方、表面酸化が代替手法として活用できる見込みである。一方で、緑色活性層の進捗が遅れている状況であり、総合的にはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策を以下に記載する。まず、さらなる導電性DBRの低転位化に向けて、組成傾斜層の厚さとSi濃度の最適化を試み、VCSELに組み込む。次に、表面酸化電流狭窄型LEDの試作結果を踏まえてVCSELに組み込む。また、GaInN量子井戸において、欠陥生成の抑制手法を確立し、GaInN緑色活性層の最適化を進め、現在(410nm)よりも長波長で動作するVCSELを作製する。上記VCSEL作製の際には、その場反射スペクトルを用いて、共振器長制御を行い、設計に則った再現性の高いVCSEL形成を試みる。さらに、最適化されたITO形成条件にてITO厚さを従来の2倍にした大口径VCSELの試作を進める。トンネル接合のさらなる低抵抗化も進め、低吸収による高出力も目指す。
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