研究課題
六方晶窒化ホウ素(hBN)は近年新たな半導体材料としての展開が進みつつある。本課題では残留炭素不純物濃度が1ppm以下の高品位化を実現した。高純度化の鍵は結晶成長溶媒の最適化であるが、これまでの窒化バリウム系にアジ化バリウムを少量添加し、結晶中の残留炭素不純物濃度が10ppmレベルから数十ppbレベルに改善した。hBN中の1ppm以下の炭素不純物の定量が長年の課題であったが、EPR法の適用で解決した。得られた高純度結晶により、遠紫外線発光素子の高効率化の基礎となる光物性研究を進めた。分担者の東北大、秩父と嶋はhBNのバンド端付近に観測される発光線の起源を明らかにするため、発光スペクトル及び発光ダイナミクスの評価を行い、hBNは間接遷移型半導体でありながら、発光に必要な運動量の変化に合致するフォノンが多く存在し、かつエネルギーバンドが平坦な領域がk空間に存在するため状態密度も高く、そのため発光しやすい事を見いだした。阪大の小島はBN結晶と全方位フォトルミネセンスで多数のBN結晶の外部量子効率を評価し、予備的な値ではあるが高純度化された試料におけるEQEがおよそ3%(平均値。 最大値としては6%程度が得られることもある)を得た。hBNへの適切なドーピングによる半導体化は最大の課題であり、産総研の山田は電気化学的手法による水酸化カリウム水溶液を用いて、K添加hBNを得た。SEM/EDS分析、数層にまで剥離した試料のTEM・EELS観察等でKの層間の局在が示唆された。ラマン分光法による評価では、結晶性を損なわずにドーピングされている。放射光光電子分光法により、カリウム添加によりB1s及びN1sピークの高束縛エネルギー側へのシフトを観測した。ドーピングによる抵抗低下は観測されず、電界効果トランジスタ構造によるゲート変調による評価手法の確立が課題である。 更に、国内外の連携機関において、2次元原子層基板、絶縁膜としてのhBNの特性評価、有用性が明らかにされた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 産業財産権 (1件)
Nature
巻: 606 ページ: 494~500
10.1038/s41586-022-04715-z
Applied Physics Letters
巻: 120 ページ: 243506~243506
10.1063/5.0097408
Nature Materials
巻: 21 ページ: 896~902
10.1038/s41563-022-01303-4
ACS Applied Materials and Interfaces
巻: 14 ページ: 25731~25740
10.1021/acsami.2c04544
巻: 606 ページ: 298~304
10.1038/s41586-022-04634-z
巻: 14 ページ: 25659~25669
10.1021/acsami.2c03198
Physical Review Research
巻: 4 ページ: 23247-23251
10.1103/PhysRevResearch.4.023247