本研究は、炭化ケイ素中のシリコン空孔(VSi)を用いて観測した量子センシング現象の実用化に向け、小型・高性能なワンチップ型量子センサの原型デバイスの動作実証を目的とする。このために、炭化ケイ素中の任意位置へのVSi形成、VSiに励起光を導入するための光導波路形成、VSi発光を高輝度化し高効率に受光するための技術開発と、高コントラストな光検出磁気共鳴の検証を行う。 従来のメートルサイズの光学定盤上で観測されてきた量子センシング現象の殻を打ち破り、小型・高性能な量子センサを実現しようとする意欲的かつ挑戦的な研究である。また、VSiを任意位置に形成し、これに自在に光を導入する技術やVSiによる発光の受光技術、高感度に量子センシングを検出する各技術の開発は、いずれも独自性が高く学術的意義は大きい。
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