研究課題/領域番号 |
20H00362
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
児玉 竜也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60272811)
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研究分担者 |
長瀬 慶紀 宮崎大学, 工学部, 教授 (90180489)
石井 知彦 香川大学, 創造工学部, 教授 (90285718)
Bellan Selvan 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50785293)
曹 賢石 新潟大学, 自然科学系, 特任助教 (70773919)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 太陽熱 / 集光システム / 水分解 / 水素製造 / 二酸化炭素分解 / 合成ガス / 熱化学サイクル / ソーラー反応器 |
研究実績の概要 |
1.高活性金属酸化物(反応性セラミック)としてベンチマークとなっている蛍石型結晶構造の酸化セリウム(セリア)による二段階水・二酸化炭素熱分解サイクルでは、格子中の酸化物イオンが放出され格子欠陥ができる。そこで電子軌道計算では、種々の金属元素がドープされたセリア結晶中の金属原子と酸素原子との結合強度の強弱に着目し、酸化物イオンが欠陥した結晶の安定性を比較した。一段目の熱還元ステップを活性化するには酸化物イオンが一部欠陥した状態が安定化することが必要だが、過度に安定化されると、逆にその酸化反応である二段目の水・二酸化炭素分解ステップの活性が低下する可能性が高いため、既に高活性化を発現するドープ金属として見出しているMnと同程度の安定性を持つドープ金属を探索した。その結果、V、Cr、Fe等を見出した。さらに最近、新規概念として注目を集める高エントロピー酸化物の概念を、二段階水・二酸化炭素熱分解サイクルに応用することも検討した。固定層において粉末試料の反応性を検討した結果、従来の概念の延長上で候補となったドープセリア系ではMnの活性を超えるものはなかったが、高エントロピー酸化物系である岩塩型構造のポリカチオン酸化物にMnドープセリアを超える高反応性セラミックを見出すことができた。一方、本研究の目指す内循環式流動層ソーラー反応器へ応用するには流動性に優れた反応性セラミック粒子の合成が必要であるが、Mnドープセリアにおいて、真球状粒子の粒径と流動性の関係を詳細に検討し、小型の内循環流動層ソーラー反応器で良好に流動する微粒子の合成に成功した。 2.流動層ソーラー反応器の数値解析ついては、ワークステーションを増強し、大型の流動層ソーラー反応器の数値解析をより高速に計算できるよう、Euler-Eulerアプローチ、熱輸送、反応速度等を組み合わせた新規数値解析モデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高活性のMnドープセリアにおいて、小型の内循環式ソーラー反応器で良好に流動する真球状微粒子の合成ができ、次年度の小型ソーラー反応器による反応試験を実施できる準備が整った。さらにMnドープセリアを超える高活性を有するポリカチオン酸化物も見出した。同様に流動性に優れた微粒子として合成できれば流動層ソーラー反応器へ応用することができることから、この点についても次年度以降検討する。次年度に行う大型の流動層ソーラー反応器の数値解析に向けては、ワークステーションの増強、新規数値解析モデルの構築を行い、より高速で行えるよう準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
高活性のMnドープセリアにおいては、小型の内循環式ソーラー反応器で反応試験を実施できる準備が整ったので、これを実施する。その試験結果を活用し、大型のソーラー反応器の設計を行う。さらに高活性のポリカチオン酸化物についても流動性の良好な微粒子の合成を検討し、反応器試験への展開を検討する。このポリカチオン酸化物系では構成元素の組み合わせにを変えることにより、さらに高活性化が期待できるため、電子軌道計算及び固定層による反応活性試験によりその検討を行う。
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