研究実績の概要 |
有機分子で表面修飾された金属超原子は、新たなナノスケールの機能単位として期待されている。本研究では、高収率・大量合成法、および孤立状態での構造・安定性・物性の評価方法の開発を通して、表面修飾超原子の基礎学理の構築と応用研究への展開を目指す。本年度は下記の成果を得た。 1)化学組成と混合状態が規定された合金超原子M@Au12(M = Ru, Rh, Ir)およびM@Au6Ag6 (M = Pd, Pt)の精密合成に成功した。また、電子構造や光学性能に対するドーピング効果を明らかにした。 2)隣接する有機配位子間の相互作用を利用して、Au3の対構造を持つ新規Au6超原子の合成やAu13超原子のフォトルミネッセンスの高効率化に成功した。また、保護配位子の特質を生かした超原子の幾何構造の制御、および発光効率・円二色性・電気化学触媒性能の向上を実現した。配位子の置換基の極性の違いを反映して超原子の電子親和力が変化することを気相光電子分光法によって明らかにした。 3)高分子で保護した新規魔法数クラスターAu24の合成に成功した。高分解能電子顕微鏡観察と理論計算によって、幾何構造の多様性と柔軟性を明らかにするとともに、空気酸化触媒機構を明らかにした。 4)ヒドリドの吸着を契機として超原子の融合を誘起することで、超原子を基本単位とする擬似的な分子(超原子分子)の標的合成に成功した。単結晶X線構造解析の結果をもとに電子構造を理論的に解析し、超原子の結合様式を提案した。
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