研究課題/領域番号 |
20H00380
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
秋山 隆彦 学習院大学, 理学部, 教授 (60202553)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 不斉合成 / キラルリン酸 / 触媒 / 光酸化還元触媒 / エナンチオ選択性 / キラリティー / 光反応 / キラルブレンステッド酸 |
研究実績の概要 |
我々が2004年に開発した(R)-BINOL由来のキラルリン酸は,優れたブレンステッド酸触媒として近年大きな発展を遂げ,非常に数多くの不斉触媒反応が開発されている。しかし,キラルリン酸が,さらに一般的に利用可能な汎用的かつ強力な酸触媒となるためには,より優れた不斉触媒反応を開発し,触媒の改良等も行うことが求められている。本研究では,キラルリン酸を用いて,これまで比較的成功例の少ない,非中心性不斉を有する化合物の不斉合成および第四級炭素骨格の構築を中心に,新たな触媒反応の開発,特に光触媒ーキラルリン酸触媒協働系に注力して研究を推進する。 2021年度においては,引き続き,トリフルオロメチル基の置換したケトイミンに対する複素環化合物のFriedel-Craftsアルキル化反応を進展させ,アルキニル基の置換したトリフルオロメチルN-Hケトイミンに対する反応も効率よく進行することを明らかにした。また,ベンゾチアゾリン誘導体をアルキルラジカル源として用いることにより,光照射条件下において,イミンに対するベンジル基の移動反応が高いエナンチオ選択性で進行することも明らかにした。その際,光酸化還元触媒の添加は不要であり,リン酸により活性化されたイミンが,酸化剤として機能し,ベンゾチアゾリンを酸化していることも見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トリフルオロメチル基の置換したN-Hケトイミンに対するFriedel-Craftsアルキル化反応は,アルキニル基の置換したケトイミンへと展開することができた。また,光反応と組み合わせた不斉触媒反応についても,イミンに対する髙エナンチオ選択的な移動反応を見いだすことができ,概ね順調に進展していると考えられる。また,軸性不斉化合物の不斉合成についても,良好な結果が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
キラルリン酸を用いた不斉触媒反応の開発を強力に推進する。特に,光反応との組み合わせた協働触媒を利用した反応および,これまでに合成例のない新たな軸性不斉化合物の不斉合成についても,さらに注力して研究を推進する。
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