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2020 年度 実績報告書

天然化合物の多様性拡張を志向した生合成分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H00416
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

高橋 俊二  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, ユニットリーダー (30311608)

研究分担者 野川 俊彦  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (40462717)
永野 真吾  鳥取大学, 工学研究科, 教授 (60286440)
加藤 直樹  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (90442946)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード放線菌 / 天然化合物 / 異種発現 / 生合成 / 遺伝子資源 / 化学資源
研究実績の概要

放線菌 (Streptomyces sp. RK-16及びStreptomyces sp. 80H647) によってそれぞれ生産されるフォスミドシン及びアスカマイシン生合成機構の解明に向けて、各生産菌のゲノム解読情報を整理し、遺伝子の機能アノテーションを行った。また、Streptomyces spiroverticillatus JC-8444が生産するバーティシラクタム生合成機構の解明に向けて、生産菌のゲノム解読情報を整理するとともに遺伝子機能アノテーションを行った。ポリケチド合成酵素 (PKS) の機能ドメイン・モジュール構成、アシル基転移酵素のマロニル-CoA及びメチルマロニル-CoAに対する基質選択性の解析、ローディングユニットの生合成に関わる酵素遺伝子の構成からバーティシラクタム生合成遺伝子クラスターを見出した。さらに、Bacterial artificial chromosome (BAC) ベクターに全長のバーティシラクタム生合成遺伝子クラスターをクローニングし、各種二次代謝生合成遺伝子が破壊されたクリーンホストである放線菌 (Streptomyces avermitilis SUKA17) を用いて異種発現し、さらに経路特異的転写制御因子を恒常的に発現させることによって、バーティシラクタムの安定生産と新規類縁体の取得に成功した。また、独自に見出したハロ酸デハロゲナーゼ(HAD)様ヒドロラーゼドメインとテルペン合成酵素βドメインから構成される新規テルペン環化酵素群の機能解明に取り組んだ。独自にゲノム解読を行った糸状菌10種から得られた候補配列を含め系統解析を行い、真菌および真正細菌での分布を解析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症による研究室の閉鎖、密を避けるための出勤制限を行ったため、予定していた研究が遅延した。また、本プロジェクト採択後に研究員の採用を予定していたが、研究所の出勤制限の期間中には採用が困難であったため、研究が遅延した。そこで、本年度は主にポリケチド及びテルペン化合物の生合成機構解明に集約して研究を進めた。具体的には、BACベクターを用いてバーティシラクタムの生合成遺伝子全長の取得、プロモーター交換した転写制御因子の調製と放線菌異種発現、HAD様ヒドロラーゼスパーファミリーに分類される新規テルペン環化酵素群の機能解析に集約して研究を進めた。核酸系抗生物質の研究は主にバイオインフォマティクス情報の収集を行い、実験研究は次年度に再計画した。

今後の研究の推進方策

当初の2020年度計画を2021年度計画と統合して研究を進める。フォスミドシン及びアスカマイシン生合成機構の解明に向けて、生合成遺伝子と推定される領域全長を相同組み換えにより、異種発現用ベクターにクローニングする。オペロンを形成している遺伝子クラスター上流に、最適化プロモーターを付加したベクターを複数構築し、放線菌異種発現によって生産を検討する。また、アスカマイシン遺伝子クラスターは、複数のプロモーターによる制御であることから、転写制御因子導入によって異種発現生産を検討する。また、生合成に必要と考えられる全遺伝子が揃っていない可能性があるため、候補遺伝子の追加導入も含めて検討する。バーティシラクタム生合成機構の詳細の解明に向けて、遺伝子破壊株の構築後、プロモーター改変した転写制御因子を導入することにより、バーティシラクタム生合成中間体の取得を検討する。さらに、マクロラクタム環生合成中間体からの水酸化、オクタリン環、及びフラン環形成機構を解析する。また、ハロ酸デハロゲナーゼ様ヒドロラーゼスパーファミリーに分類されるテルペン環化酵素群のうち、高活性の酵素を選びその機能を生化学的に解析する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] β-carboline chemical signals induce reveromycin production through a LuxR family regulator in Streptomyces sp. SN-5932020

    • 著者名/発表者名
      Panthee Suresh、Kito Naoko、Hayashi Teruo、Shimizu Takeshi、Ishikawa Jun、Hamamoto Hiroshi、Osada Hiroyuki、Takahashi Shunji
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 10230

    • DOI

      10.1038/s41598-020-66974-y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Developing Aspergillus niger as a cell factory for food enzyme production2020

    • 著者名/発表者名
      Li Cen、Zhou Jingwen、Du Guocheng、Chen Jian、Takahashi Shunji、Liu Song
    • 雑誌名

      Biotechnology Advances

      巻: 44 ページ: 107630~107630

    • DOI

      10.1016/j.biotechadv.2020.107630

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Heterologous Expression of the Biosynthetic Gene Cluster for Verticilactam and Identification of Analogues2020

    • 著者名/発表者名
      Nogawa Toshihiko、Terai Atsutaka、Amagai Keita、Hashimoto Junko、Futamura Yushi、Okano Akiko、Fujie Manabu、Satoh Noriyuki、Ikeda Haruo、Shin-ya Kazuo、Osada Hiroyuki、Takahashi Shunji
    • 雑誌名

      Journal of Natural Products

      巻: 83 ページ: 3598~3605

    • DOI

      10.1021/acs.jnatprod.0c00755

    • 査読あり
  • [学会発表] デカリン合成酵素Phm7およびFsa2のin vitroアッセイ系の構築2021

    • 著者名/発表者名
      加藤直樹、藤山敬介、野川俊彦、長田裕之、永野真吾、高橋俊二
    • 学会等名
      日本農芸化学会

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公開日: 2023-12-25  

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