当該年度、本研究提案では以下の課題に取り組んだ。 (1) O. rufipogon遺伝子単離・解析プラットフォームの構築と検証(種子形質に着目)については、O. rufipogonを用いて、形質評価→GWAS解析→候補遺伝子の検証という野生イネからの遺伝子単離・機能解析プラットフォーム構築の実証を行った。当該年度は、前年度作成したGWAS用ゲノタイプファイルをもとに検出した複数のQTLについて、データベース検索等により遺伝子機能の検証に取り組んだ。その結果、種子の代謝物含量を制御すると考えられる複数の候補遺伝子を見つけることができた。なかでも、糖に関連した代謝物含量を制御する遺伝子座については、複数種類の代謝物が同一座位の遺伝子が制御する可能性を明らかにすることができた。このことにより、GWASによる遺伝子単離の有効性をあらためて確認することができた。また、病害抵抗性に関わることが示唆される別の代謝物については、GWASのピークが一遺伝子座の多型を示しており、遺伝子同定のスピードの速さも確認することができた。(2) O. rufipogonの種子形多様性をもたらすシグナル分子をコードする遺伝子の解析については、約300系統のO.rufipogonの種子形データを用いてGWAS解析により同定した新規種子形制御シグナル分子をコードする遺伝子の機能解析を行い、 データをまとめ論文として発表した。 (3) 上記に加えて、O. rufipogonとO. barthiiにおける種子形質多様性に関する形質情報の取得を行った。当該年度は主に代謝物の多様性を解析した。
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