2023年度は、以下の項目に取り組んだ。 (1) O. rufipogon遺伝子単離・解析プラットフォームの構築と検証(種子形質に着目): O. rufipogonを用いて、形質評価→GWAS解析→候補遺伝子の検証という野生イネからの遺伝子単離・機能解析プラットフォーム構築の実証を行った。具体的には、GWAS用ゲノタイプファイルをもとに検出した複数のQTLについて、実験的な遺伝子機能の検証に取り組んだ。 (2) O. rufipogonの種子形多様性をもたらすシグナル分子をコードする遺伝子の解析: 約300系統のO.rufipogonの種子形データを用いてGWAS解析により同定した新規種子形制御シグナル分子をコードする遺伝子の機能解析を行い、データをまとめ2022年度に論文として発表した。この項目については、当初計画にある通り、さらなる種子形質として、種子休眠形質の取得や遺伝子座の単離と解析に取り組んだ。 (3) O. rufipogonとO. barthiiにおける種子形質多様性創出機構の比較解析: 2023年度は、O.barthiiのリファレンスゲノムの構築に引き続き取り組んだ。代謝物情報など、O.barthiiを用いたGWAS解析に必要な形質情報の取得を進めた。 また、2023年度の当初研究計画に加え、野生イネ種子に含まれる代謝物情報及びタンパク質の解析を行った。具体的には一部のOryza属野生イネの種子よりタンパク質を抽出し、タンパク質の蓄積パタンの解析をおこなった。その結果、野生イネにおいて、栽培イネの知られている種子貯蔵タンパク質の蓄積パタンと異なるものが見出された。
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