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2020 年度 実績報告書

ハナバチ保全のための新興疾病の統合的リスク評価

研究課題

研究課題/領域番号 20H00425
研究機関国立研究開発法人国立環境研究所

研究代表者

坂本 佳子  国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (80714196)

研究分担者 中岡 慎治  北海道大学, 先端生命科学研究院, 准教授 (30512040)
鎌倉 昌樹  富山県立大学, 工学部, 講師 (60363876)
池上 真木彦  国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 研究員 (60791366)
水谷 哲也  東京農工大学, 農学部, 教授 (70281681)
宮崎 亮  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80712489)
芳山 三喜雄  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (10510258)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードミツバチ / 農薬 / 腸内細菌
研究実績の概要

国内に生息する野生ハナバチ 13 種を対象に DNA・RNA を抽出し、次世代シーケンサーを用いて網羅的解析を実施した。その結果、セイヨウミツバチ、ツツハナバチ、キムネクマバチより未知、あるいは国内未確認のウイルスを検出した。また、すでにミツバチの病原生物として知られる14種について、リアルタイムPCR検出システムを確立し、上記の野生ハナバチ13種における感染・寄生状況を調査した。
農薬が腸内細菌に及ぼす影響を評価するために、まずは、羽化直後のミツバチに均等・均質な腸内細菌叢を与え、14日間安定的に飼育する方法を確立した。当該飼育方法を用いて、ネオニコチノイド、フェニルピラゾール、有機リン、カーバメート、ピレスロイド等の殺虫剤、および殺菌剤、除草剤をそれぞれ2段階で濃度設定で投与し、セイヨウミツバチ3群の腸内細菌叢への影響を解析した。
3種のネオニコチノイド(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)をミツバチに投与し、アカリンダニを付着させたところ、ミツバチがダニに気づくまでの時間が短縮し、かつダニを払い落とす行動(グルーミング)の回数が増加した。ネオニコチノイドがミツバチの過敏性を亢進させ、社会性免疫に影響を及ぼす可能性を示唆した。
ミツバチ伝染病の国内分布と近年のトレンドを把握するため、家畜伝染病である腐蛆病、届出伝染病であるバロア症、チョーク病、ノゼマ症、アカリンダニ症の国内発生届出件数データを農林水産省のサイトより入手し、月別・都道府県別で整備した。過去20年間のトレンドをみたところ、腐蛆病やチョーク病発生は減少傾向にあるが、アカリンダニ症の拡大が見られた。バロア症は一時期減少したが近年増加傾向にあった。
ツツハナバチ属のドラフトゲノムを解析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウイルス感染症によって遠方への出張が制限されたため、野生ハナバチ調査地を変更する必要があったが、解析に必要な種数および個体数の8割程度は達成した。また、出勤制限により、当初計画より実験遂行に遅れが生じたが、翌年度に完了した。

今後の研究の推進方策

セイヨウミツバチで実施した腸内細菌実験を、ニホンミツバチでも同様に実施する予定である。
また、ニホンミツバチの飼養群を対象に、農薬および病原体の影響を評価する大規模調査を予定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Effects of neonicotinoids on honey bee autogrooming behavior against the tracheal mite Acarapis woodi2022

    • 著者名/発表者名
      Sakamoto Y., Yoshiyama M., Maeda T., Goka K.
    • 雑誌名

      Ecotoxicology

      巻: 31 ページ: 251-258

    • DOI

      10.1007/s10646-021-02503-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ミツバチヘギイタダニ(トゲダニ目:ヘギイタダニ科)の生態およびミツバチ(ハチ目:ミツバチ科)のダニ抵抗性に関する最新の知見2021

    • 著者名/発表者名
      坂本佳子
    • 雑誌名

      日本応用動物昆虫学会誌

      巻: 65 ページ: 71-85

    • DOI

      10.1303/jjaez.2021.

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 病原体と農薬ばく露がミツバチの健康に与える影響評価-プロジェクト導入編-2022

    • 著者名/発表者名
      久本峻平, 池上真木彦, 五箇公一, 前田太郎, 布村由香, 竹前等, 横田智子, 水谷哲也, 〇坂本佳子
    • 学会等名
      日本生態学会第69回全国大会
  • [学会発表] ミツバチ2種の自己グルーミンク行動に関わる胸部体毛の形態比較2021

    • 著者名/発表者名
      坂本佳子
    • 学会等名
      日本昆虫学会第81回大会
  • [学会発表] ツツハナバチOsmia taurusから検出されたScaldis River beevirus様新規chuvirus2021

    • 著者名/発表者名
      竹前等, 布村由香, 横田智子, 大場真己, 水谷哲也, 坂本佳子
    • 学会等名
      第164回日本獣医学会学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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