研究課題/領域番号 |
20H00442
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西村 伸一 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (30198501)
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研究分担者 |
柴田 俊文 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (30342546)
小松 満 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (50325081)
吉田 郁政 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 教授 (60409373)
珠玖 隆行 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (70625053)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ため池 / CPTU / ミューオン探査 / リスク評価 / スパースモデリング / データサイエンス / 地盤調査 / 物理探査 |
研究実績の概要 |
広域に多数存在するため池群のリスク評価手法の開発を最終目的とする.達成すべき具体的研究課題は,1)ため池堤体内および基礎地盤の可視化技術の開発;2)広範囲に多数存在するため池のリスクを表現する代替モデルの提案,である.この目的の達成のために,2020年度は,主に次の6項目について検討を行った. (1)CPTU模型試験装置の開発,(2)クロスホールミューオン試験装置の開発を指向した模型地盤を用いたミューオン探査の基礎実験,(3)斜面走行型スクリューウェイト式サンディング装置の開発,(4)スパースモデリングや新たなデータサイエンス手法を用いた地盤内同定手法の開発,(5)堤防の越流破堤模型実験,(6)堤体破堤リスク手法の開発 本研究の大きな流れは,新たな地盤探査手法の開発→高精度地盤探査の達成→代替モデルによる高精度破堤リスク評価手法の開発であり,上記の(1)~(6)は,これら3項目のいずれかに関わるものである.(1)の模型実験装置は,CPTUを利用して,ため池堤体の透水係数分布を同定するためのものである.これによって,地盤強度,土質,透水係数を同時に同定する実験が可能となる.2020年度は,試験機を設計し,完成させることができた. (5)は,堤体の越流破壊挙動予測手法の開発を目指して行った,(2), (3), (4)は,地盤内部を同定する手法を確立するための実験および解析の研究である.(2)については,試験手法の精度を確認するためにその基礎実験を行った.(3)については,クローラに貫入機を装着させる基礎実験を行い,斜面での実験の可能性を探った.(6)は,豪雨と地震に対するリスク評価手法の開発で,(1)~(5)のすべての要素技術が統合される内容である.2020年度は,社会実装に向けて,応答曲面法を用いたため池のリスク評価手法を開発し,岡山県,広島県のため池に適用している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は,次の研究項目が予定された.(1)CPTU模型試験装置の開発,(2)クロスホールミューオン試験装置の開発を指向した模型地盤を用いたミューオン探査の基礎実験,(3)斜面走行型スクリューウェイト式サンディング装置の開発,(4)スパースモデリングや新たなデータサイエンス手法を用いた地盤内同定手法の開発,(5)堤防の越流破堤模型実験,(6)堤体破堤リスク手法の開発 この項目で,(1)は,年度内に試験機の開発を完了することができなかった.これは,当初予定の精度を得るために設計変更を行ったこと,および,コロナ禍において,精度を検討するための予備実験が予定通りに進まなかったことによる.また,(3)の装置の開発においても,実験の困難さが明らかとなり,完成させることができなかった.その他の項目は予定通りに進捗している.とくに,(6)については,行政,民間企業との連携ができており,予定以上の進捗を見ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
ため池のリスク評価手法の開発に関する研究を行うが,2021度以降は,主に次の項目を予定している.下記で,継続と示されているのは,2020年度からの継続研究である. (1)CPTU模型試験装置の開発と試験の実施(継続),(2)クロスホールミューオン試験装置の開発,(3)模型地盤を用いたミューオン探査の基礎実験(継続),(4)斜面走行型スウェーデン式サンディング装置の開発(継続),(5) スパースモデリングや新たなデータサイエンス手法を用いた地盤内同定手法の開発(継続),(6)堤防の越流破堤模型実験,(7)堤体破堤リスク手法の開発(継続) 2021年度は,(1)において完成した試験機を用いて,試験機の精度検証を中心に行い,進捗の遅れを取り戻す.(4)に関しては,目指すべき試験機を簡略化するように計画変更して試験機を完成に近づける.他の項目に関しては予定通り進捗しているので,現状の推進ペースを維持する.
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