研究課題
本研究では、(1)分泌リガンド・受容体LGI1-ADAM22と(2)パルミトイル化脂質修飾関連酵素を起点として、シナプス-ナノドメインの形成機構とシナプス前・後部の協調機構を明らかにする。私共は、2020年度にLGI1-ADAM22-PSD-95(およびMAGUKファミリー)複合体が、シナプス前後部のナノドメインを対面整列させる中心的な構成因子として機能し、シナプス伝達を精緻に制御することを報告した(Fukata Y et al. PNAS 2021)。続いて2021年度には、LGI1-ADAM22-PSD-95経路が、他のMAGUKタンパク質SAP102経路と協調して、海馬の長期増強(LTP)に必須の役割を果たしていることを見出した(Chen X et al. PNAS 2021)。また、ADAM22の合成経路と分解経路を明らかにし、ADAM22タンパク質の発現量が健常マウスの約10%あればてんかん発症を抑えられることを明らかにした (Yokoi et al. Cell Reports 2021)。2021年度末から2022年度にかけて、私共は難治性てんかん脳症や知的障害の患者において、多数のADAM22バリアントを見出し、その分子病態の解明を進めた。具体的には、これら病的ADAM22バリアントは、ADAM22の合成経路の異常や、LGI1もしくはPSD-95との結合能が欠失していることを明らかにした(van der Knoop MM et al. Brain 2022、および投稿中)。一方、パルミトイル化サイクルによるシナプス-ナノドメインの形成機構を明らかにするために、(1)脱パルミトイル化酵素ABHD17のノックアウトマウスの解析、(2)パルミトイル化サイクルを受けないPSD-95変異体に関する解析を進め、シナプスナノドメイン形成機構の一端を明らかした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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