研究課題/領域番号 |
20H00462
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
寺尾 知可史 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (60610459)
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研究分担者 |
鎌谷 洋一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00720880)
川路 英哉 公益財団法人東京都医学総合研究所, その他部局等, 副参事研究員 (20525406)
小井土 大 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (40787561)
村川 泰裕 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (50765469)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遺伝子発現 / 遺伝多型 |
研究実績の概要 |
本研究では免疫疾患の原因として重要なエンハンサーに注目し、我々が開発した新技術を用いて免疫疾患に重要なリンパ球細胞株におけるエンハンサーを高感度に測定して遺伝多型依存的エンハンサー制御地図を作成し、全ゲノム関連解析(GWAS)結果を解釈しての免疫疾患の治療標的同定を目的とする。一塩基多型に注目したGWASは疾患関連遺伝領域を多数同定してきた。関連シグナルの多くが非翻訳領域にあり、遺伝子発現制御に関わる(eQTL)と考えられているが、解釈は不十分である。遺伝子発現制御は細胞種依存的で、疾患に重要な細胞のeQTL情報が治療開発に役立つ。エンハンサーは遺伝子発現を対象から離れた位置より細胞特異的に制御する機能領域であり、免疫疾患の感受性多型が著しく集積する。eRNA発現量は定量困難であるが、我々は高感度に定量可能な新技術を開発した。本技術で、免疫疾患に重要であるリンパ球の細胞株を用いて定量し、機械学習を用いた手法と組み合わせてエンハンサーのeQTL地図を作成する。地図を用いて免疫疾患GWAS結果から疾患原因として決定的なエンハンサーを含む発現ネットワークを同定し、治療対象として提唱する。 今年度は、LCLのRNA抽出, NET-RNA抽出をほぼ完了した。さらに個人別遺伝子発現変動に影響を与えないレベルのindex デザインを行った。そのindex デザインを基にtotal RNA sequenceを押し進め、データ解析を行った。その結果、既報のeQTLデータの結果の多くが再現できる、質の高い結果が得られた。さらに CAGE sequence データの作出に取り掛かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNA 抽出をほぼ終え、total RNA sequence data産生が順調に進んでおり、予定通りNET-CAGEデータの作出にも取り掛かっている。それらのデータ解析も行っている。 さらに、個人識別のためのindexが個人間の発現変動よりも小さいデザインを行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進捗しているため、下流の高次解析を押し進め、エンハンサー発現制御の遺伝基盤と、人種間比較の知見を得るためにさらに解析を進める。データ産出のため、シーケンス費用が下がったなら適宜coverageを増やしてデータ量を増加させたい。
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