研究課題/領域番号 |
20H00467
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
清水 重臣 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70271020)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | GOMED / ゴルジ体 / タンパク質分解 |
研究実績の概要 |
ゴルジ体はこれまで、「分子に修飾を加えることによって、適切な運搬場所を示す」オルガネラであると理解されてきた。しかしながら、我々はゴルジ体の新たな機能として、トランスゴルジ膜を使った蛋白質分解機構Golgi-mediated degradation pathway (GOMED)を発見した。本研究では、GOMED実行機構の解明、GOMED活性が、細胞外環境の変化によって変化するメカニズムの解明、GOMEDの生理機能、病理機能の解明を行なっている。 今年度、「GOMED実行機構の解明」に関しては、GOMED関連分子を新たに5分子同定することに成功した。また、このうち3種類のGOMED実行分子に関して、ノックアウト細胞を作製し、GOMED誘導刺激に対するゴルジ体の反応を電子顕微鏡で観察した。その結果、1種類はゴルジ体にシグナルが加わる以前で、2種類は隔離膜形成の段階で機能していることが明らかとなった。 GOMED活性が、細胞外環境の変化によって変化するメカニズムの解明に関しては、膵ベータ細胞株におけるインスリン調節を代表例として、細胞外グルコース濃度によってGOMEDが調節されるメカニズムに関わるシグナル伝達機構の一部を明らかにした。 GOMEDの生理的役割に関しては、GOMED1/2二重欠損マウスやGOMED3欠損マウスが胎生致死であることより、胎生致死の原因をさまざまな臓器を解析することで解析した。 GOMEDの病理的役割に関しては、GOMED実行分子に点突然変異を入れたマウスを作成した。今後、疾患に罹患するか否かを解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究成果は、研究計画をほぼ予定通りに遂行するものである。具体的には、GOMED実行機構においては、計画していた分子同定を3種類行い、さらにこれら分子の機能まで明らかにできた。GOMED活性が、細胞外環境の変化によって変化するメカニズムに関しては、膵ベータ細胞のモデルであるMIN6細胞を用いて、解析に成功した。GOMEDの生理的役割に関しては、遺伝子組み換えマウスの表現系解析を進めることで、予定通りの進捗が得られた。病理的役割に関しても、疾患モデルマウスの作出に成功し、予定通りの研究進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
現在の進捗状況ならびに成果より、今後も継続して取り組むことにより、予定通りの成果を達成しうるものと考えられた。
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