研究課題/領域番号 |
20H00470
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 寿朗 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90517096)
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研究分担者 |
和田 七夕子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50379541)
佐竹 暁子 九州大学, 理学研究院, 教授 (70506237)
白川 一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70636969)
山口 暢俊 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (90767899)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 発現制御 / 発生・分化 / 細胞周期 / シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
本研究では、高等植物の花における、環境からのインプットに着目しつつ、種固有の器官数および、サイズを決める原理の解明を目指して研究を進めてきた。本研究は、花をつくる幹細胞に着目して、3つの関連しつつも独立したテーマI) 花器官数の不変性を司るエピジェネティックなバイオタイマーの制御機構、II) 花弁サイズの決定を司るジャスモン酸シグナル系路、III) 花の総数の決定における茎頂幹細胞の老化制御の分子機構の解析を行った。以下にテーマごとに成果概要をまとめる。 I) AGAMOUS誘導系における下流ターゲット遺伝子の細胞周期依存性を細胞周期の阻害剤を使ったRNA-seqおよびQ-PCRにより解析することにより、バイオタイマーによって制御される遺伝子を複数同定した。さらに、幹細胞の抑制因子であるKNUレポーターにおいて、抑制的ヒストン修飾領域を改変し、さらに改変型レポーターをポリコム変異体や細胞周期の変異体に導入することにより、ヒストン修飾の希釈モデルの実証実験を行った。 II) 野生型とdad1突然変異体の花弁を用いたRNA-seqにて、dad1で有意に発現減少していた老化関連因子の花弁発生に伴う発現の時空間性をイメージングにより解析した。野生型とdad1の花弁における細胞生物、生化学的解析として、走査型および透過型電子顕微鏡による花弁細胞の老化状態の観察を行った。 III) 加齢におよぼす環境や栄養条件の影響を幹細胞マーカーにより解析した。時間軸に沿った茎頂の幹細胞領域での単一細胞レベルのRNA-seqを行い、活性酸素シグナル関連遺伝子を複数同定した。活性酸素の投与および阻害剤を使った実験から茎頂幹細胞の老化過程における活性酸素シグナル系の機能を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
花幹細胞制御におけるKNUの作用機序にかんしては、歴史あるジャーナルであるPNASE 118, e2102826118, doi:10.1073/pnas.2102826118 (2021)に国際共同研究の論文を報告した。さらにAG下流のバイオタイマー(I)の論文はNature姉妹誌にてリバイズ中である。AGの作用機序については、Current Opinion in Plant Biology 61:1020009, 2021にて総説を発表した。IIは最終まとめのためのデータ取得中であり、IIIはInternational Journal of Molecular Sciences, 23, 3864. doi.org/10.3390/ijms23073864にて論文報告した。さらに環境からのインプットとして、エピジェネティックな熱ストレス応答機構について、Nature Communications (2021)などにおいて報告した。今年度は計7報の論文報告を行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、I. AG下流のバイオタイマーの論文を公表することを第一目標とする。必要なリバイズ実験を行い、再投稿する。さらにII. 花弁の老化過程におけるジャスモン酸経路の解明についての最終とりまとめにかかる。
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備考 |
SSHラボステイの受入:2021年8月4日(水)- 6日(金) 3日間 国際会議”INTEGRATIVE EPIGENETICS IN PLANTS”をメインオーガナイザーとしてオンライン開催:2021年12月14日(火)
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