研究課題
私たちの体は、頭尾・背腹・左右という3つの極性(体軸)を持っている。なかでも左右非対称な形態は、発生のどの時期において、どのような仕組みで生じる のか? 本研究の目的は,2つの異なる脊椎動物において、左右非対称性の起源を明らかにすることであった。すなわち、マウスにおいては、繊毛に依存して方向 性を持った水流が生じ、その水流を感知する機構を解明する。一方、繊毛に依存しない爬虫類や鳥類においては、繊毛がなくても対称性が破られる機構を調べる ことで非対称性の起源に迫る。これら2種類の脊椎動物における機構を比較することで、対称性が破られるメカニズムの多様性を明らかすることであった。本年 度は、以下のような研究成果を得た。1) 不動繊毛では、水流に面した側でより高いtensionを受けること、Tensionによって活性化されることが知られているイオンチャネルPkd2タンパク質が、不動繊毛内の正中線に面した側に高密度に分布していることがわかった。このことから、ノードの左側の繊毛は反応するが、右側の不動繊毛は反応しない理由が明らかになった。2) ニワトリのNodal遺伝子の左右性を持ちかつノード特異的なエンハンサーをさらに詳細にmappingした結果、ノードの両側で活性を持つエンハンサーと、ノードの右側だけを抑制するサイレンサーの組み合わせであることがわかった。3) 爬虫類胚の脳で、Nodal以外にもLeftyやPitx2も左右非対称に発現することがわかった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.riken.jp/press/2023/20230112_2/index.html