研究課題
合成DNAからなるヒト人工染色体(HAC)は、染色体分配機能に関わるセントロメアとヘテロクロマチンの形成機構解明や遺伝子導入ベクターとして基礎研究から応用研究まで広く利用されている。一方、植物では、遺伝子のエピジェネティックな発現抑制がより複雑で、分子生物学解析もより困難であることから、染色体分配に関わるセントロメア形成のメカニズムの解明は遅れている。CENP-Aは真核生物セントロメア形成のエピジェネティックな制御の鍵を握るヒストンH3のバリアントである。そこで本研究では植物CENP-A (CENH3)の集合に関わる因子やCENP-Aと同様に人工染色体形成に必須であるヘテロクロマチンの形成機構の解明を進めた。これらの知見を利用し、植物細胞へ導入した合成DNA上でセントロメアやヘテロクロマチンを新規形成させ、植物人工染色体の構築を目指す計画である。具体的には、1)ヒト細胞を用いた植物CENP-Aの集合因子の検索、2)植物染色体異所的部位での植物CENP-Aの集合メカニズムの解明、3)反復DNAの合成と長鎖合成DNAの導入による植物人工染色体の開発、4)HACのプロトプラスト化植物細胞への導入と植物セントロメア化誘導、の4つの研究計画を進めた。2022年度は計画 2)、3)、4)を中心に植物CENP-Aやヘテロクロマチンの集合に関連する因子を植物染色体へ挿入した合成反復DNAに結合させる研究を進め、合成反復DNA上でヘテロクロマチン形成を誘導することに成功した。また、植物細胞のプロトプラスト化の条件を確立し、植物マーカー遺伝子を挿入したHACを微小核細胞融合法と分裂期染色体導入法を用いてヒト細胞から植物細胞へ移植する実験を進めた。最終的な目標である植物人工染色体の形成にはまだ至っていないが研究は順調に進展した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)
The Plant Journal
巻: 114 ページ: 668~682
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http://www.kazusa.or.jp/news/pr20230324/
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