研究課題/領域番号 |
20H00491
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金子 周司 京都大学, 薬学研究科, 教授 (60177516)
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研究分担者 |
浅井 聰 日本大学, 医学部, 教授 (80231108)
永安 一樹 京都大学, 薬学研究科, 助教 (00717902)
浅岡 希美 京都大学, 医学研究科, 助教 (90826091)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リアルワールドデータ / 有害事象 / ドラッグリポジショニング / レセプト / AI創薬 |
研究実績の概要 |
1. FAERS解析からオランザピンによる脂質異常症オッズ比を大きく低減させる併用薬Aを発見した。国内レセプトに記載された検査値を用いて、オランザピン処方例における脂質関連検査値と傷病名を用いた時系列解析からオランザピンと薬物Aの併用例において脂質異常の改善が見られた。この現象についてマウスを用いて検証を行ったところ再現できることを確認した。 2. FAERSからアミオダロンによる間質性肺疾患のオッズ比を大きく低減する併用薬Bとしてダビガトランを発見した。その有効性について国内レセプトの時系列解析で検証を行い、有効性を確認した。マウスに対してアミオダロン連投により作成した間質性肺疾患モデルにおいてダビガトランは体重減少や炎症性マーカーの数値に改善効果を発揮した。RNAseqにより炎症パスウェイにおける血小板由来増殖因子受容体αの関与を同定し、その発現抑制がメカニズムであることを特定した。 3. FAERSからプラミペキソールによるOCD様行動のオッズ比を大きく低減させる併用薬Cを発見した。その作用は米国レセプトの時系列解析により確認された。マウスOCDモデルを用いて併用薬C作用の再現を行うことに成功した。そのメカニズムについては現在研究中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3種類のテーマのうち、アミオダロンによる間質性肺障害については実証実験と作用メカニズムの同定に成功し、有望な創薬標的候補として論文発表を行った。残る2テーマについてもレセプトによる検証とin vivo病態モデルによる実証に成功しており、現在そのメカニズムの特定を急いでいる。
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今後の研究の推進方策 |
FAERSという有害事象自発報告を用いるだけでなく、国内レセプト770万人分、米国レセプト4000万人分というビッグデータを活用することによって、今まで知られていない薬物間相互作用あるいは薬物の意外な有効性を発掘する技術を確立させた。本研究では残された2テーマのメカニズム同定と創薬標的の発掘を急ぐが、本手法は他の疾患領域においてもきわめて有効なドラッグリポジショニングの情報学的技術を提供するものであり、さらなる応用展開を目指した研究を推進する。
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