疾患誘発に係わる酸化脂質の包括的理解

2022 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20H00493
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 山田 健一 九州大学, 薬学研究院, 教授 (60346806)
• 研究分担者: 今井 浩孝 北里大学, 薬学部, 教授 (50255361) ; 柴田 貴広 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (80447838)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 酸化脂質 / 構造解析 / 脳

研究実績の概要

酸化脂質が疾患に関与していることが報告されているが、これら酸化脂質がどのような構造を示し、疾患を誘発するのかほとんどわかっていない。そこで本研究では、「疾患誘発に係わる酸化脂質の包括的理解」を研究目的とした。本年度は、1）酸化脂質分析技術開発、2）疾患モデル動物での方法論の検証、3）酸化脂質がどのような作用を示すのか、の3点について実施した。
1）酸化脂質分析技術開発：我々は、これまでに、酸化脂質構造解析技術開発を行い、実際にホスファチジルコリン由来の酸化脂質を数百種類検出することに成功した。そこで本技術を応用して他のヘッドグループを有するリン脂質をターゲットとした構造解析を進めた。例えば、本手法を応用し、トリアシルグリセロール由来酸化脂質の構造解析を実施した。
2）疾患モデル動物での方法論の検証：記手法を用いた、高脂肪食摂取動物での酸化脂質の構造解析を実施した。その結果、肝障害マーカー増加に先だって、トリアシルグリセロール由来酸化脂質が上昇していることを見出した。また、その後、リン脂質由来酸化脂質が上昇していた。一方で、血管性認知症モデル動物に対して酸化脂質抑制剤投与により、その後の認知機能障害の低下を抑制できることを示すと共に、ミクログリアの活性化も抑制することを見出した。
3）酸化脂質がどのような作用を示すのか：我々はこれまで、酸化脂質の生成を抑制すると疾患の進展を軽減できることを見出している。そこで、酸化脂質を培養ミクログリアに添加すると活性化すると共に、補体分子の産生なども誘導していることがわかった。

現在までの達成度 (段落)

翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。

今後の研究の推進方策

翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Triglyceride peroxidation progression in lipid droplets of hepatocytes in nonalcoholic steatohepatitis (2023)
  • 著者名/発表者名: Saito K, Matsuoka Y, Abe M, Kato N, Morimoto K, Yamada KI
  • 雑誌名: Redox. Ex. Med. 巻: 1 ページ: 1-11
  • DOI: 10.1530/REM-22-0024
  • 査読あり
• [雑誌論文] Structural Analysis of Intracellular Lipid Radicals by LC/MS/MS Using a BODIPY-Based Profluorescent Nitroxide Probe (2023)
  • 著者名/発表者名: Udo T, Matsuoka Y, Takahashi M, Izumi Y, Saito K, Tazoe K, Tanaka M, Naka H, Bamba T, Yamada KI
  • 雑誌名: Anal. Chem 巻: 95（10） ページ: 4585-4591
  • DOI: 10.1021/acs.analchem.2c04950
  • 査読あり
• [雑誌論文] Effects of selenium deficiency on biological results of X-ray and carbon-ion beam irradiation in mice (2022)
  • 著者名/発表者名: Ueno M, Shibata S, Nakanishi I, Aoki I, Yamada KI, Matsumoto K
  • 雑誌名: J. Clin. Biochem. Nutr 巻: 71(3) ページ: 1-10
  • DOI: 10.3164/jcbn.22-57.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Doxorubicin causes ferroptosis and cardiotoxicity by intercalating into mitochondrial DNA and disrupting Alas1-dependent heme synthesis (2022)
  • 著者名/発表者名: Abe K, Ikeda M, Ide T, Tadokoro T, Deguchi Miyamoto H, Furusawa S, Tsutsui Y, Miyake R, Ishimaru K, Watanabe M, Matsushima S, Koumura T, Yamada KI, Imai H, Tsutsui H
  • 雑誌名: Sci Signal 巻: 15(758) ページ: 1-15
  • DOI: 10.1126/scisignal.abn8017.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Kinetics of lipid radical formation in lipoproteins from β-thalassemia: Implication of cholesteryl esters and α-tocopherol (2022)
  • 著者名/発表者名: Lerksaipheng P, Paiboonsukwong K, Sanvarinda P, Leuchapudiporn R, Yamada KI, Morales NP.
  • 雑誌名: Biomed Pharmacother 巻: 154:113624 ページ: 1-10
  • DOI: 10.1016/j.biopha.2022.113624.
  • 査読あり
• [雑誌論文] A non-canonical vitamin K cycle is a potent ferroptosis suppressor (2022)
  • 著者名/発表者名: Mishima E, Ito J, Wu Z, Nakamura T, Wahida A, Doll S, Tonnus W, Nepachalovich P, Eggenhofer E, Aldrovandi M, Henkelmann M, Yamada KI, Wanninger J, Zilka O, Sato E, Feederle R, Hass D, Maida A, Linkermann A, Edward K. Geissler, Nakagawa K, Abe T, Fedorova M, Proneth B, Derek A. Pratt & Conrad M.
  • 雑誌名: Nature 巻: 608 ページ: 778-783
  • DOI: 10.1038/s41586-022-05022-3.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Iron overload via heme degradation in the endoplasmic reticulum triggers ferroptosis in myocardial ischemia-reperfusion injury. (2022)
  • 著者名/発表者名: Deguchi Miyamoto H, Ikeda M, Ide T, Tadokoro T, Furusawa S, Abe K, Ishimaru K, Enzan N, Sada M, Yamamoto T, Matsushima S, Koumura T, Yamada KI, Imai H, Tsutsui H.
  • 雑誌名: JACC Basic Transl Sci 巻: 27:7(8) ページ: 800-819
  • DOI: 10.1016/j.jacbts.2022.03.012.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Detection and Structural Analysis of Pyrimidine Nucleoside derived Radicals Generated on DNA by a Profluorescent Nitroxide Probe. (2022)
  • 著者名/発表者名: Yamauchi K, Matsuoka Y, Takahashi M, Izumi Y, Bamba T, Yamada KI.
  • 雑誌名: Chem Comm 巻: 58 ページ: 56-59
  • 査読あり
• [学会発表] 脂質ラジカル・酸化リン脂質の検出・構造解析、そして疾患モデルへの応用 (2022)
  • 著者名/発表者名: 山田 健一
  • 学会等名: 日本ケミカルバイオロジー学会第16回年会
  • 招待講演
• [学会発表] 酸化ストレス疾患に関与する酸化脂質の検出・構造解析 (2022)
  • 著者名/発表者名: 山田 健一
  • 学会等名: クロマトグラフィー次世代技術セミナー2022
  • 招待講演
• [学会発表] 脂質ラジカル・酸化脂質の網羅的解析と疾患モデルへの応用 (2022)
  • 著者名/発表者名: 山田 健一
  • 学会等名: 第64回日本脂質生化学会
• [学会発表] 脂質由来ラジカル・酸化リン脂質の検出・構造解析及び疾患モデルへの応用 (2022)
  • 著者名/発表者名: 山田 健一
  • 学会等名: 第16回メタボロームシンポジウム
• [学会発表] 酸化脂質の検出・構造解析と疾患モデル動物への応用 (2022)
  • 著者名/発表者名: 山田 健一
  • 学会等名: 第43回 生体膜と薬物の相互作用シンポジウム
• [学会発表] Detection and structure analysis of lipid-derived radicals and oxidized phospholipids (2022)
  • 著者名/発表者名: Ken-ichi Yamada
  • 学会等名: Redox Week in Sendai 2022 STINT-JSPS Joint Symposium
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] リソソームにおける脂質過酸化反応がフェロトーシス誘導を亢進する (2022)
  • 著者名/発表者名: 斎元祐真、森本 和志 、日下部大樹、松岡 悠太、唐澤悟、山田 健一
  • 学会等名: 第95回日本生化学会
• [学会発表] 脂質過酸化反応抑制剤は光誘発性網膜障害を抑制する (2022)
  • 著者名/発表者名: 森 亮太, 城臺 更, 石田 南人, 進藤 早, 海津 幸子, 谷戸 正樹, 松岡 悠太, 森本 和志, 山田 健一
  • 学会等名: 第95回日本生化学会
• [学会発表] 薬用植物抽出液ライブラリーを用いたフェロトーシス抑制剤の探索 (2022)
  • 著者名/発表者名: 城戸百香 、松岡 悠太、森本 和志 、山田 健一
  • 学会等名: 第39回日本薬学会九州山口支部大会
• [学会発表] 鉄過剰症における血漿中脂質関連因子の解析 (2022)
  • 著者名/発表者名: 松田和 、松岡悠太、森本和志、山田健一
  • 学会等名: 第39回日本薬学会九州山口支部大会
• [学会発表] 光誘発性網膜障害に対する脂質過酸化反応抑制剤 X の抑制効果 (2022)
  • 著者名/発表者名: 森 亮太 城臺 更、海津 幸子、谷戸 正樹、松岡 悠太、森本 和志 、山田 健一
  • 学会等名: 第39回日本薬学会九州山口支部大会
• [学会発表] 質量分析法を用いた酸化ホスファチジルコリンの包括的解析および可視化技術 (2022)
  • 著者名/発表者名: 松岡悠太, 高橋政友, 杉浦悠毅, 和泉自泰, 末松誠, 馬場健史, 山田健一
  • 学会等名: 第61回電子スピンサイエンス学会
• [学会発表] リソソーム脂質過酸化反応はリソソーム膜破壊を介してフェロト ー シスを誘導する (2022)
  • 著者名/発表者名: 斎元祐真, 森本和志, 日下部大樹, 松岡悠太, 平山佑, 唐澤悟, 山田健一
  • 学会等名: 第61回電子スピンサイエンス学会
• [学会発表] ニトロキシドプローブを用いた脂質ラジカル付加体精製法の開発と応用 (2022)
  • 著者名/発表者名: 田中萌、齋藤耕太、松岡悠太、高橋政友、和泉自泰、馬場健史、森本和志、山田健一
  • 学会等名: 第61回電子スピンサイエンス学会
• [学会発表] チオール基反応性求電子性酸化脂質を捕捉する蛍光プローブの開発および応用 (2022)
  • 著者名/発表者名: 田添佳歩，松岡悠太，高橋政友，和泉自泰，馬場健史，森本和志，山田健一
  • 学会等名: 第61回電子スピンサイエンス学会
• [学会発表] 酸化脂質の検出・構造解析と疾患モデル動物での解析 (2022)
  • 著者名/発表者名: 山田 健一
  • 学会等名: 日本酸化ストレス学会フリーラジカルスクール2022
  • 招待講演
• [学会発表] 脂質過酸化反応抑制剤の探索と血管性認知症モデルマウスへの適用 (2022)
  • 著者名/発表者名: 阿部 真紗美、宗 茉里恵、進藤 早紀、松岡 悠太、森本 和志、山田 健一
  • 学会等名: 日本薬学会 第143年会
• [学会発表] 炎症反応を惹起する酸化リン脂質の探索 (2022)
  • 著者名/発表者名: 上野 亮哉、小櫻 英翔、岩尾 彬広、松岡 悠太、森本 和志、山田 健一
  • 学会等名: 日本薬学会 第143年会
• [学会発表] リソソームでの脂質過酸化反応がフェロトーシス誘導を亢進する (2022)
  • 著者名/発表者名: 津波古 光生、斎元 祐真、森本 和志、松岡 悠太、唐澤 悟、山田 健一
  • 学会等名: 日本薬学会 第143年会