極性が崩壊した上皮細胞は過剰増殖して腫瘍を形成するが、周囲を正常細胞に囲まれると細胞死を起こして排除される。この現象は「細胞競合」と呼ばれ、細胞間コミュニケーションを介した新たながん抑制機構として注目されている。本研究では、極性崩壊細胞が生体内インスリンレベルの上昇に応答してインスリン感受性を上昇させ、細胞競合の敗者から勝者へと転じて腫瘍化を引き起こすメカニズムを明らかにする。 研究代表者らは最近、ショウジョウバエ個体において、生体内のシステミックな因子(インスリン)が上皮組織における細胞競合誘発の有無に決定的な役割を果たすことを発見した。本研究により、生体内環境が細胞競合を誘発するメカニズムを解明できるとともに、それを標的とした新たながん治療戦略の基盤を構築できると期待される
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