強力な遺伝学的な手法が採れるショウジョウバエのメリットを最大限に活かし、記憶が形成される際に合成されるタンパク質を網羅的に解析し、何が定着する記憶と忘れ去られる記憶とを分けるのかを追究する。本研究では、経験に依存して合成される標的タンパク質を同定し、ゲノム編集技術を用いてこれを標識することで、このタンパク質の動態を可視化することに挑戦する。 長期的に記憶が定着されるには、一連のタンパク質合成が必要なことは明らかである。経験依存的なタンパク質の合成とそれぞれの機能が分かってくれば、記憶の基本メカニズムの解明につながる、意義ある研究である。リボソームプロファイルの技術も含め、本研究代表者と共同研究者で洗練させてきたものを使い、タンパク質の発現レベルで、経験依存的な可塑的変化を明らかにすることが期待される。
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