研究課題
本研究はショウジョウバエの神経活動に依存して翻訳される候補タンパク質を細胞種特異的に同定することを目的とした。今年度は、ショウジョウバエ脳内の神経細胞およびグリア細胞におけるトランスラトームを基に、リボソームプロファイリングから得られた成果を論文化した(Ichinose et al., eLife. 2023)。本論文では、イオンチャネルや神経伝達物質受容体など、神経伝達に必要なタンパク質の翻訳効率が神経細胞では高い一方で、グリア細胞では低く保たれていることを示した。また、これらmRNAのリボソームフットプリントの分布がグリア細胞では5' 非翻訳領域(untranslated region:UTR)に著しく偏っていることを見出し、グリア細胞において5' UTRが選択的な翻訳抑制に重要であることを証明した。このことは、mRNAの翻訳制御が細胞種の機能多様性に寄与していることを示唆している。さらに、この細胞種特異的リボソームプロファイリング技術と光遺伝学的技術を用いて、神経刺激依存的に翻訳活性が上昇するタンパク質群を同定した。これらの活動依存的に翻訳される遺伝子の配列解析により、多くの遺伝子種の5' UTRに共通したモチーフが存在することを見出した。この発見から、神経細胞が一連のタンパク質群を迅速に合成することで可塑性を誘導することが明らかになった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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