神経の分化・成熟は一方向性に進むと信じられてきた。研究代表者らは、過活動などの刺激によって未成熟状態に戻る「脱成熟」が生じることを見出した。脱成熟現象は、各種の精神疾患に随伴する一方で、個体に好ましい効果をもたらす可能性も示唆されている。本研究では、光遺伝学的手法で脱成熟を誘導したマウスや各種疾患モデルマウスを用いて、成熟度可塑性の機能的意味と分子メカニズムを解明し、成熟度の制御法を開発する。 脱成熟現象は研究代表者らが発見した従来の常識を覆す大きな発見である。この現象の機能的意味と分子メカニズムを解明して、成熟度の制御法を開発することは、神経科学の基礎研究として大きな意義を持つ。さらに、この現象が各種の発達障害や精神疾患に随伴することから、成熟度の制御に成功すれば、これら疾患の新たな治療法の開発につながる可能性も期待される。
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