研究課題/領域番号 |
20H00544
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
奥村 康 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (50009700)
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研究分担者 |
内田 浩一郎 順天堂大学, 健康総合科学先端研究機構, 准教授 (80648329)
羽賀 博典 京都大学, 医学研究科, 教授 (10252462)
大段 秀樹 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (10363061)
江川 裕人 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40293865)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肝移植 / 免疫寛容 / 制御性T細胞 / 拒絶反応 |
研究実績の概要 |
日本肝移植学会の協力の元、肝移植患者において、免疫抑制剤を1年以上内服しないでも移植片の機能が安定している免疫寛容に至った患者の実態をアンケート調査した。本邦で肝移植の実施経験がある医療機関は67施設存在する。本アンケートの調査対象施設は、これら全67施設から現在肝移植を実施していないことが明らかであった2施設を除く全65施設とした。また、調査対象の肝移植症例は、65医療機関でこれまでに実施した肝移植症例全例(成人及び小児)とした。これまでの移植実績全8401例中、免疫寛容が樹立できたのはわずか158例(約1.9%)であった。うち、小児時期(<15歳)の移植患者が131人、成人期は25人であった。 本調査で回答の得られた全45医療機関において、免疫寛容が樹立できた患者は158例存在していることが判明した。そのうち、早期(移植後5年以内)に免疫寛容が樹立できた患者は54例で(成人16例、小児38例)であった。ただし、成人16例のうち7例は誘導型抑制性T細胞による免疫寛容誘導症例であることから、積極的介入のない免疫寛容樹立症例は9例(成人の肝移植累計数5404例に対して約0.2%)に留まる。さらに、成人患者で移植後2年以内の症例に注目すると、免疫寛容樹立症例は4例のみ(成人の肝移植累計数5404例に対して約0.1%)であった。 本課題の遂行がきっかけで、肝移植免疫寛容の患者レジストリー登録が広島大学病院、東京女子医科大学病院、京都大学病院、長崎大学病院、北海道大学病院による多施設共同研究の研究班が結成され、免疫寛容に至った移植片生検サンプルを用いた多重蛍光免疫染色やRNAシークエンス(組織浸潤リンパ球のシングルセル解析を含む)による遺伝子診断の計画が立案され、実施のための条件検討を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は全体として、COVID-19による緊急事態宣言による研究活動制限と産学連携のスピードが低下した。 一方でWETな免疫研究の遂行とは別に、Dryな全国アンケート調査による免疫寛容患者の実態調査は大きく進展し、肝移植学会を中心とした多施設共同研究班が立ち上がるなど、遅れた部分と想定以上に進捗した部分があるものの、総じて上記区分となった。
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今後の研究の推進方策 |
肝生検サンプルを用いた多重蛍光免疫染色の抗体選定と染色条件について、連携するピッツバーグ大学からの技術移管を開始している。 RNAシークエンスやシングルセルRNAシークエンスによる遺伝子診断は、生検で取得できる組織ボリュームに依存するため、各施設間での生検方法の標準化が必要である。
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