• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

透明化手法を用いた新規イメージング技術による内耳病態の包括的・網羅的解析

研究課題

研究課題/領域番号 20H00546
研究機関東京大学

研究代表者

山岨 達也  東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60251302)

研究分担者 岩崎 真一  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10359606)
木下 淳  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10755648)
樫尾 明憲  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20451809)
鴨頭 輝  東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (30807152)
近藤 健二  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40334370)
藤本 千里  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60581882)
浦田 真次  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60849404)
松本 有  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80548553) [辞退]
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード内耳 / ミトコンドリア / 解剖 / 組織透明化
研究実績の概要

蝸牛・前庭・半規管の組織を透明化し、三次元的に詳細に観察する技術を構築を試みた。焦点深度の深い顕微鏡の構築はまだ完成しておらず、まずは蝸牛全体では無く、前庭に近い基底回転のみを含めて前庭と半規管を骨胞の透明化により描出する方法を模索し、すべての感覚上皮がコンタミネーションなくきれいに描出できる手法をトライアンドエラーにより確立した。現在ほぼ安定して、前庭の二つの感覚上皮(球形嚢斑、卵形嚢斑)および三つ(前・後・外側)の半規管膨大部を同時に描出することが可能になっている。免疫染色は核染色(DPI)、有毛細胞(ミオシン7a)、細胞骨格(ファロイジン)、神経繊維(NF200)などが可能であり、正常状態における各感覚細胞の細胞カウント、各感覚上皮の三次元的形態、それぞれの感覚上皮の三次元的関係について解析した。細胞カウントについては自動カウントのソフトを導入し、わずかに残るゴミを除去して手動ではない方法でカウントできるようにした。感覚上皮の彎曲や各感覚の三次元的関係については形態の近似値を計算する数式について検討中であり、これが完成すれば投稿予定である。また、障害モデルについてはゲンタシン投与マウスモデルで感覚細胞・シナプス、新鋭の変性および再生過程について経時的に観察を行っている。蝸牛については音響外傷および加齢性難聴での有毛細胞障害後のシナプスの変化、神経変性について、三次元的観察を行い、また血管条の血管形態の変化、マクロファージの分布の変化を検討中である。なお、マウスの音響外傷および老人性難聴にの予備実験として、PQQの予防効果につき、ABRによる機能解析、感覚細胞、シナプス、蝸牛神経、ラセン神経節、血管条を形態学的に調べ、その有効性を確認した。またPQQについては蝸牛有毛細胞株であるHEI-OCIでの酸化ストレス予防効果、ミトコンドリア保護効果などに付き検討し、論文化した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

蝸牛・前庭・半規管の組織を透明化し、三次元的に詳細に観察する技術の構築を試みているが、焦点深度の深い顕微鏡の構築が完成しておらず、この3つを同時に解析できるようになっていない点が遅れている。
このため蝸牛全体を含めずに前庭に近い蝸牛基底回転のみを残して前庭・半規管に蝸牛の一部を含んだやや狭い範囲の解析とし、透明化により平衡機能に関わる感覚上皮すべてをコンタミネーションなくきれいに描出できる方法をまず開発した。透明化と染色法は試行錯誤をくりかえし、前庭の二つの感覚上皮(球形嚢斑、卵形嚢斑)および三つ(前・後・外側)の半規管膨大部を同時に描出することを可能にできた。免疫染色は核染色(DPI)、有毛細胞(ミオシン7a)、細胞骨格(ファロイジン)、神経繊維(NF200)などが可能であり、正常状態における各感覚細胞の細胞カウント、各感覚上皮の三次元的形態、それぞれの感覚上皮の三次元的関係について解析できている。細胞カウントについては自動カウントのソフトを導入し、自動カウントに邪魔なゴミを除去して自動カウントできるようにした点は順調に進んでいる。今後は感覚上皮の彎曲や各感覚の三次元的関係については形態の近似値を計算する方法を完成できれば一段落となる。この計画は予定通り進んでいる。
また、平行してゲンタシンによる障害モデルマウスでも感覚細胞・シナプス、新鋭の変性および再生過程について経時的に観察を行っており、蝸牛では音響外傷と加齢性難聴での三次元的観察や血管条形態の変化、マクロファージの分布の変化を見ており、2022年度はその比較解析をまとめる予定である。この点もほぼ計画通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

上述したように、蝸牛・前庭・半規管全体を透明化によって一度に三次元的に詳細に観察する技術を構築するには焦点深度の深い顕微鏡の構築が必要であり、この完成を推進する。なお、平衡器官の描出は完成しており、今後は正常構造の解剖を解析する他、各種障害後の変性の進行や障害の内容による相違、障害後の再生の状態などを調べるが、これらの多くが未知であり、できるだけ幅広く網羅的に検討して、この分野の新しい概念を確立したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Pyrroloquinoline quinone (PQQ) protects mitochondrial function of HEI-OC1 cells under premature senescence2022

    • 著者名/発表者名
      Ying Gao, Teru Kamogashira, Chisato Fujimoto, Tatsuya Yamasoba
    • 雑誌名

      npj Aging

      巻: 8 ページ: 3 (1-17)

    • DOI

      10.1038/s41514-022-00083-0

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi