研究課題
これまでの研究成果を発展させて、腸内微生物叢と免疫制御機構の視点から歯周病の病態メカニズムを解明し、それに基づく先進的免疫療法の基盤確立を目指した。1)歯周病における腸内微生物叢の役割の解明:SPFマウスに各種抗菌剤を投与することで腸内微生物の一部を破壊したマウス群に対して歯周病感染モデルマウスで評価したところ、歯周病の病態を増悪し感受性へと導く抗菌剤や改善し抵抗性へと導く抗菌剤があることを見出した。また、腸内微生物叢の影響によって、腸内で誘導される歯周病原細菌反応性Th17細胞の分化に変化が生じていることが明らかになった。2)歯周病の病態を司る免疫制御機構の解明:歯周病の歯肉組織に浸潤するTh17細胞に、ケモカインレセプターCCR6が発現していることを確認した。また、歯周組織では歯周病原細菌による口腔感染によってCCR6のリガンドであるケモカインCCL20が産生されていることがわかった。これらの結果からCCL20(歯周組織)-CCR6(Th17細胞)軸によって歯周組織にTh17細胞が集積すると考えられた。3)歯周病への先進的免疫療法の基盤の確立:歯周病重症化群で歯周組織にTh17細胞が多数認められ、歯周組織中のIL-17AのmRNA発現量が増加していることが確認された。Th17細胞のマスター転写因子RORγtの阻害剤GSK805ならびにIL-17A中和抗体の投与による歯周病の病態に対する効果を検証したところ、歯周病の重症化が抑制されることが明らかとなり、動物実験において新しい免疫療法の可能性が示された。このようにして歯周病の病態メカニズムに基づく先進的免疫療法の基盤を確立した。これらの研究成果に基づいて将来的には臨床口腔感染症の研究チームとの連携を強化することで、ヒト歯周病の研究へと発展させる道が切り開かれた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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