研究分担者 |
河原 隆二 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (10332454)
田中 香お里 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 教授 (20242729)
林 将大 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 助教 (20646385)
山本 眞由美 岐阜大学, 保健管理センター, 教授 (40313879)
山口 貴弘 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (80553635)
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研究実績の概要 |
コリスチンは多剤耐性細菌に対して有効な数少ない抗生物質の一つのため、コリスチン耐性の広がりは感染症治療において大きな問題となる。この耐性は、耐性遺伝子mcrを含むプラスミドの伝達によって広がるため、プラスミドの宿主範囲が遺伝子の水平伝播に影響を与える。本年度は、エクアドルの健康な住民の便から分離されたコリスチン耐性大腸菌のゲノム配列をショートリードとロングリードシーケンスをDNBSEQおよびMinIONプラットフォームから取得し、これらのハイブリッドにより完全ゲノムの収集とそのアノテーションを行うことによる耐性遺伝子の構造解析を行った。その結果、異なる住民から得られたコリスチン耐性大腸菌2株から異なる宿主範囲を有するInc型(IncFIA, InCHIIIA, InCHIIB)プラスミドの融合した広範囲宿主プラスミドがmcr遺伝子を保有していることを明らかにした。これらmcr保有融合プラスミッドは他の薬剤耐性遺伝子、tet(B), tet(M), BlaTEM-1b, sul3, cmlA1, aadA1, aadA2, fosA3, dfrA12をも保有した多剤耐性遺伝子保有プラスミドであった。この研究結果は、多剤耐性プラスミドの進化およびホスト間での水平mcr伝達に重要な役割を果たすmcr融合プラスミドを報告した初の事例となった。本研究成果はJournal of Global Antimicrobial Resistanceに発表した。
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