研究課題
研究代表者らは痛風の主要病因遺伝子ABCG2を同定し、さらにABCG2の解析を基に高尿酸血症の新規臨床分類を提唱した。また、世界に先駆けて明確に臨床診断された痛風のゲノムワイド関連解析(GWAS)や世界最大規模の尿酸値のGWASなどを報告し、数々の新規遺伝子座の同定に成功してきた。これらの日本発の研究を通じて、痛風・高尿酸血症は多因子疾患の中でも特に遺伝要因が強く、ゲノム個別化予防・医療の重要なモデル疾患となり得ることから、さらなる研究を進めている。本研究計画の最終年度目にあたる2023年度においては、2022年度までに得られた成果を発展させるとともに、研究期間全体で得られた研究成果の取りまとめにも注力した。また、今年度に発表することができた成果のうち、特筆すべき内容のひとつとして、閉経前後でABCG2機能低下が血清尿酸値に与える影響の変化をその他の要因と比較しつつ評価したことを挙げることができる。具体的には、閉経前後ともにABCG2機能低下は環境要因と独立して血清尿酸値を上昇させ、集団全体におけるABCG2機能低下の遺伝的影響はその他の環境要因よりも強いことが示された。すなわち、閉経という女性のライフステージ変化の前後においても、高尿酸血症の発症に対してABCG2遺伝子多型が大きな影響を持つと考えられる。以上の成果は、女性の高尿酸血症を対象とするゲノムの個人差に基づく医療・予防においてより有用な情報の提供・活用に資する可能性を秘めており、今後のさらなる発展が期待される。なお、関連する学会発表は、第57回日本痛風・尿酸核酸学会総会において、優秀演題賞を受賞した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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