研究課題/領域番号 |
20H00569
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 義春 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60251427)
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研究分担者 |
北島 剛司 藤田医科大学, 医学部, 教授 (40360234)
吉内 一浩 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70313153)
中村 亨 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任教授(常勤) (80419473)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 健康のリスク制御 / IoTデバイス / 心身の不調 / Just-in-Time適応型介入 / Micro-Randomized Trial |
研究実績の概要 |
交付1年目では主に既存のIoTクラウドデータ収集システムに対してオンデマンド型脈波計測機能の改良・音声認識機能の実装によって、その機能拡張を実現した。またシステムの機能拡張に加えて、100名規模での実証実験を行うことでシステムの有用性の検証を行った。 2年目 (昨年度) では交付1年目で確立された技術基盤に基づき、第一に就労者約350名を対象とした心身症状・生体情報計測を約2週間実施し、気分・身体症状と対応する生体情報(i.e., 身体活動・睡眠・脈波・音声)を含んだビッグデータの作成を行った。本データセットには10,000件を超える生体情報とそれに対応する心身症状データが含まれており、現在では音声データを中心に活用することで、客観的指標に基づく心身不調の予測・検出を実現するAIモデルの構築に着手している段階である。第二に、気分・身体症状との関連が広く知られている睡眠習慣に着目し、就労者約80名を対象に睡眠習慣制御を目的としたMicro-Randomized Trial(以下MRT)に関する実証実験を約2週間行った。本トライアルでは、これまでに行ってきた日常生活下での心身症状・生体情報の計測に加えて、リストバンド型加速度計から得られた身体活動データを用いて日々の睡眠データを逐次的かつ自動的に推定し、さらに対象者へ一定の確率で睡眠状態のフィードバック通知を行うことで、通知の個人内効果の評価を可能にしている。現在では介入による即時的な効果(i.e., 翌日の睡眠時間や心身症状の変化)やトライアル期間を通じての睡眠習慣・心身症状の安定化効果に関する検証を行っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日常生活下での心身症状と生体情報とが紐づいたビッグデータの作成、および健常者を対象としたMRTの実現に着手したことに鑑みて、本研究計画はおおむね順調な進捗状況であると認識している。
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今後の研究の推進方策 |
交付3年目となる本年度では、第一に、構築されたAIモデルを既存のMRT機構に実装することで生体情報に基づく心身不調検出アルゴリズムの有用性の検証および介入指示の個人最適化の実現に着手する。本トライアルでは健常就労者約200名程度を対象に約2か月間、生体情報・心身症状の評価を行う。実装されたAIモデルによって心身の不調が予測された際には、行動医学・精神医学の専門家の知識や経験に基づきあらかじめ選定された介入内容セット(e.g., 中程度の運動促進や睡眠衛生指導、リラクゼーションの教示など)の中から対象者に向けてランダムに介入通知を送信し、その後の改善効果を評価する。特に、統計学習や機械学習の技術を用いることで、どういった個人特性を持つ人が、どのような条件・タイミングで、どのような介入が効果的であったか、という点まで分析を行い、年齢や性別、生活習慣等のデモグラフィックデータと最適な介入条件・内容とが対応付けられた分類器の作成を行う。 第二に、健常就労者約200名、および寛解状態にある気分障害患者約20名をそれぞれリクルートするとともに類型論的なアプローチからその個人にあった介入内容を推定し、個人最適化された介入形態が実際に心身の不調およびプレゼンティーズムの改善に効果を有するかについて検証を行う(それぞれ約2カ月間)。特に、臨床経験上、気分障害患者においては生活習慣・睡眠習慣に乱れを呈する傾向にあることから、睡眠の長さやタイミングの調整・安定化が重要な要因になることが予想され、昨年度に行った睡眠制御MRTの知見が活されることが見込まれる。症状の改善やコントロールといったリスク制御に対する効果を検証することで、臨床への応用可能性について検討を行うことも予定している。
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