研究課題
[研究目的・方法] (実験1)長岡らが発見したラクトスタチン(IIAEK)の媒介する新規肝臓コレステロール(CHOL)分解調節系や新規腸CHOL吸収調節系に関与する、ラクトスタチン受容体として、腸アルカリフォスファターゼ(IAP)を仮説として想定している。この仮説をさまざまな方法(Biacoreなど)で検証することを目的とした。(実験2)脂質代謝改善作用を発揮する大豆β-コングリシニン(大豆β)をラットに経口投与し、投与後に血中に出現する大豆β由来ペプチドをTOF/MSなどでペプチドAを特定した。今回は、ペプチドAをラットに経口投与し、脂質代謝に対する影響を評価した。(実験3)発見した新規CHOL代謝改善ペプチドFPを経口投与し、門脈血中に出現するFP濃度を定量した。[結果](実験1)IIAEKとIAPの分子間相互作用をBiacoreにより定量評価した。その結果、大変驚いたことに、IIAEKはIAPの本来の基質であるピリドキサールリン酸よりも強力にIAPと特異的に結合した。(実験2)ペプチドAは、ラットにおいて、対照と比較して、肝臓トリグリセリドが有意に低下した。(実験3)FPの血中濃度の測定には、FPの安定同位体を用いた。その結果、門脈血中のFP濃度を定量できた。
1: 当初の計画以上に進展している
IIAEKとIAP(腸アルカリフォスファターゼ)との分子間相互作用研究が、たいへん効率的に進んだので、計画以上に進展した理由と考える。
(1) IIAEKのアラニン置換ペプチドとIAPとの相互作用をBiacoreで解析する。(2) IAPはAkp3(生活習慣病との関連報告あり)とAkp6が存在する。そこで、IIAEKを野生型マウスとAkp3 欠損マウスに摂取させて、IIAEKとIAPの関連性(IAPはIIAEKの受容体である)を証明する。まずは、IIAEKが野生型マウスでコレステロール代謝改善作用を発揮するかどうかを検証する。(3)門脈血中に検出された濃度のFPをヒト肝臓細胞HepG2に添加し、FPによる脂質代謝改善作用が発揮されるかどうかを解析する。
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