研究課題
[研究目的・方法] (実験1) 生体内基質であるピリドキサールリン酸とIAP(腸アルカリホスファターゼ)の相互作用及びIIAEKとIAPの相互作用をBiacoreで比較解析する。(実験2) IIAEKを野生型マウスとIAP欠損マウスに摂取させて、IIAEKのコレステロール代謝改善作用とIAPの関連性を証明する。(実験3)門脈血中に検出された濃度のFPを、ヒト肝臓細胞HepG2に添加した場合に起こる、FPによるコレステロール代謝改善作用の発現機構を解析する。(実験4) AlphaFold2により、IIAEKとIAPのドッキングシミュレーション解析を実施する。(実験5) AlphaFold2により、FPとコレステロール代謝関連転写因子(PPARα)のドッキングシミュレーション解析を実施する。[結果](実験1)IIAEKは生体内基質であるピリドキサールリン酸よりも強力に、IAPと分子間相互作用することを発見した。(実験2)大変興味深いことに、IAP欠損マウスでは、IIAEKのコレステロール代謝改善作用は完全に消失した。(実験3)門脈血中に検出された濃度のFPをヒト肝臓細胞HepG2に添加し、FPによる脂質代謝改善作用の作用機構を解析した結果、FPはコレステロール分解系律速酵素(CYP7A1)やPPARαのmRNAを有意に増加させた。(実験4) AlphaFold2により、IIAEKとIAPは、特異的分子間相互作用することを発見した。(実験5) AlphaFold2により、FPとコレステロール代謝関連転写因子(PPARα)は、特異的分子間相互作用することを発見した。FPは核内転写因子PPARαのリガンドである。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画以上に進展した理由は下記の3点である。(1)BiacoreやAlphaFold 2による分子レベルでの解析結果から、IIAEKとIAP(腸アルカリホスファターゼ)との特異的分子間相互作用が明らかにされた点。(2)IAP欠損マウスでは、IIAEKによるコレステロール代謝改善作用が完全に消失することを発見した点。(3) FPは核内転写因子PPARαのリガンドであることを発見した点。
(1) IAP欠損マウスでは、IIAEKのコレステロール代謝改善作用は完全に消失したので、IIAEKとIAPの関与する新しいコレステロール代謝調節経路を解明する。(2) 門脈血中に検出された濃度のFPを、ヒト肝臓細胞HepG2に添加した場合に起こる、FPによるコレステロール代謝改善作用の発現機構をPPARαとの関連性から解析する。(3) IIAEKやIIAEKのアラニン置換ペプチドとIAPのドッキングシミュレーション解析を実施する。(4) AlphaFold2により、FP以外の399種類のジペプチドとコレステロール代謝関連転写因子(PPARα)のドッキングシミュレーション解析(網羅解析)を実施する。
すべて 2023 2022 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 産業財産権 (1件)
Biosci. Biotechnol. Biochem.
巻: 87 ページ: 90-98
10.1093/bbb/zbac167
巻: 87 ページ: 197-207
10.1093/bbb/zbac197
ミルクサイエンス
巻: 71 ページ: 197-207
アミノ酸研究
巻: 16 ページ: 5-10