研究課題/領域番号 |
20H00573
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
尾上 浩隆 京都大学, 医学研究科, 研究員 (80214196)
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研究分担者 |
田原 強 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 客員研究員 (20419708)
山口 玲欧奈 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (50812640)
笠井 昌俊 京都大学, 医学研究科, 助教 (70625269)
Veale Richard 京都大学, 医学研究科, 助教 (80828880)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / マカクザル / fMRI / siRNA / ECoG / AAVベクター / CMOS |
研究実績の概要 |
非ヒト霊長類動物であるマカクザルの脊髄損傷モデルを用い、回復過程における腹側線条体の本質的な役割、神経・分子機構を解明するために、以下の3つの項目について検討を行った。1)分子特異的siRNAを組み込んだAAVベクターのTet発現誘導システムの開発: 前年度に引き続きp11のマカクサルに特異的なsiRNAを作製し、Tetで発現が制御可能なAAVベクターを開発中である。前回作製したAAV1と2型のミックスタイプのウィルスベクターでは、脳に注入後に多くの神経細胞に取り込まれているにもかかわらず、アセチルコリン神経には取り込まれていないことが明らかになった。そのため新たにセロタイプの違う、DJ/8型と9型のAAVベクターを作製を開始した。2)ECoG、fMRIよるによるマクロ解析: サルの感覚―運動野にECoGを埋め込み、脊髄損傷後の回復過程における領域間の機能的結合の動的変遷をGranger causality等を用いて解析した。その結果、脊髄損傷後の回復過程において損傷と同側の運動関連皮質から対側の運動関連皮質への結合性が増加することが示された。前年度に開発したMRI用の頭蓋骨密着型コイルと非磁性のカーボン電極を主体としたECoGを使って、fMRIとECoG信号の同時測定を検討した。ECoGを埋め込んだサルにおいても全体的な脳の結合性の測定はできたものの、ECoG電極直下の信号が測定できていないことが判明した。現在、さらにECoGの改良を行っている。3)一次運動野や補足運動野におけるCa2+イメージング:光遺伝学的方法により一次運動野、運動前野など運動機能回復過程におけるCa2+、神経伝達物質の動態を解析するために、奈良先端大学の太田らの協力のもと、CMOSとLEDを組み合わせたイメージセンサーを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前回作製したAAV1と2型のミックスタイプのウィルスベクターでは、脳に注入後に多くの神経細胞に取り込まれているにもかかわらず、アセチルコリン神経には取り込まれていないことが明らかになったため新たにセロタイプの違う、DJ/8型と9型のAAVベクターを作製することとなった。 非磁性のカーボン電極を主体としたECoGを使って、fMRIとECoG信号の同時測定を検討した。ECoGを埋め込んだサルにおいても全体的な脳の結合性の測定はできたものの、ECoG電極直下の信号が測定できていないことが判明したため、コードの材料を改良して再度作り直しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
通常のECoGによる脳信号の解析が順調にすすんでいることから、こちらの実験による解析をさらに進める。そして、新しいDJ/8型と9型のAAVベクターが完成し次第、in vivoでの発現を検討しサルへの実験を行う。 また、新規に開発したMRI用の頭蓋骨密着型コイルによるrsfMRIの測定法が確立できたことから、こちらのデータのn数を増やし、脊髄損傷による影響の検討を進める。
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