研究課題/領域番号 |
20H00574
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鈴木 克彦 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80344597)
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研究分担者 |
原 太一 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00392374)
川西 範明 千葉工業大学, 先進工学部, 准教授 (00706533)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 運動 / エクソソーム / 炎症 / 酸化ストレス / 機能性食品 |
研究実績の概要 |
研究初年度は運動と食品成分の機能解析に関する研究に着手した。具体的には、物質Aはこれまでに抗肥満効果があり、運動との併用でその効果が増強することが報告されている。また、肥満には慢性炎症が関与することが分かっており、MAPKなどの増殖シグナルや酸化ストレスが脂肪細胞を肥大化させ、マクロファージの極性変化を伴う炎症が肥大化の悪循環を誘発することが分かっている。また、肥満においては、炎症性サイトカインであるマクロファージ遊走阻止因子(MIF)の血中濃度が上昇し、食事・運動療法で減少することが報告されている。本研究において、腸由来エクソソーム自体は大きく免疫応答や細胞増殖に機能することや、茶カテキンの一つであるEGCGは腸由来のエクソソームの粒子数の減少だけでなく、その含有タンパク質の変化によって炎症応答を抑制することが示唆された。加えて、EGCG処理によってエクソソーム中のMIFの減少が確認されたことから、脂肪細胞の肥大化抑制に働く可能性がある。これらの結果は、これまでEGCGの機能性として報告されてきた抗肥満効果や抗炎症作用を支持するものである。緑茶と運動との併用によって、抗肥満を含めた有益な健康作用が今後の研究によって示されることが期待される。また、関連する情報収集のために総説を作成し、論文発表も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍で人を対象とする実験の実施が困難な状況にあり、まず細胞実験、動物実験、文献調査など可能なところから研究を開始したが、人対象の運動負荷実験にも着手でき。また、マイクロRNAの解析法について検討が計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、電気刺激による筋収縮および持久的運動の負荷により分泌されるエクソソームの機能解析を行う。具体的には、安静マウスおよび電気刺激負荷マウス、持久的運動負荷マウスから精製した血清エクソソームを骨格筋細胞および脳神経細胞に添加して、細胞の増殖能と樹状突起形成やシナプス発達などの分化能の違いを検証する。加えて、安静マウスから精製したエクソソームに電気刺激や持久的運動で特異的に変動が認められたmicroRNAをトランスフェクションして、運動を模倣した改変エクソソームを作成する。改変エクソソームを骨格筋細胞および脳神経細胞に添加して、各種の細胞機能解析を行うことで運動効果を規定するエクソソーム含有型microRNAを同定する。さらに、ヒトを対象とした実験を行い、持久的運動後に採取した血液および尿からエクソソームを精製して、大規模並列シーケンサーを用いた各種RNAの網羅的発現解析を行い、運動ストレスを反映する新規バイオマーカーを探索する。
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