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2020 年度 実績報告書

腸内細菌叢-ホルモン-脳システムをもとにした食品による認知症予防戦略

研究課題

研究課題/領域番号 20H00575
研究機関協同乳業株式会社研究所

研究代表者

松本 光晴  協同乳業株式会社研究所, 研究所, 主幹研究員 (50505972)

研究分担者 坪井 貴司  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80415231)
掛山 正心  早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (30353535)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード認知的柔軟性 / 腸内細菌 / 脳腸相関 / ホルモン / ポリアミン
研究実績の概要

認知症の発症初期に低下する「認知的柔軟性」の維持に有用な食品に繋がる知見の獲得を目標に、腸内細菌叢由来代謝産物と消化管ホルモンを介した脳腸相関(腸内細菌叢-ホルモン-脳システム)の分子基盤解明を目指し、初年度計画に従って進めた。
具体的には、消化管内分泌細胞の株化モデル細胞を保有済み腸内細菌叢由来代謝産物ライブラリーの化合物で刺激し、ホルモン分泌を誘導する化合物をスクリーニングした。当初より最有力候補として着目していたポリアミンもその作用を有することが確認でき、現在、in situ試験でのホルモン分泌確認ステージへと進展している。ポリアミンの大腸上皮細胞(消化管内分泌細胞も含まれる)の増殖促進作用に真核生物翻訳伸長因子 eIF5Aのハイプシン化が関与していることを認め、既存の知見と合わせ論文発表した。脳側の分子基盤の解明への取り組みに関しては、タッチパネル装置で認知的柔軟性を獲得したマウスの脳を回収し、遺伝子発現解析を実施中である。脳腸相関に関与する細胞の活動をin vivoイメージングでモニターするため、可視化センサー分子を発現しているマウスの作製を進めた(継続中)。最終年度に計画しているのマウス評価試験の準備も計画通り進めた。自然加齢マウスの認知的柔軟性の低下が生じる月齢探索試験を実施し、現在、得られた行動データを詳細に解析中である。我々が立ち上げたタッチパネル装置における認知的柔軟性評価タスクに関する論文は執筆中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

COVID-19の影響は若干受けたものの、各機関で感染予防ルールを確立し、影響を最低限に留めてほぼ予定通りの実験成果を得られたから。

今後の研究の推進方策

概ね順調に進展しているため、当初計画にほぼ準じて進めていく。特に、消化管ホルモン内分泌誘導作用が確認されたポリアミンを軸に、主として以下の実験を進める。
(1)in situ試験、in vivo試験でポリアミンのホルモン分泌作用を確認するとともに、消化管内分泌細胞の株化モデル細胞を用いて内分泌メカニズムの解明を目指す。(2)生体個体レベルで、腸内細菌由来ポリアミンを介した脳腸相関の経路を推定するため、ポリアミン産生菌/非産生菌単独定着ノトバイオートマウスを作製し、腸組織および脳組織をオミクス解析し、両組織で生じている現象を捉える。(3)初年度に得た自然加齢マウスの月齢別試験の行動データを詳細解析し、認知的柔軟性低下モデルとして最適な月齢を見出すと共に、プロバイオティクス等を用いた認知的柔軟性評価試験の予備検討を行う。並行して、可視化センサー分子発現マウスの作製を継続すると共にそれを用いた解析技術の確立を目指す。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Symbiotic polyamine metabolism regulates epithelial proliferation and macrophage differentiation in the colon2021

    • 著者名/発表者名
      1.Nakamura A, Kurihara S, Takahashi D, Ohashi W, Nakamura Y, Kimura S, Onuki M, Kume A, Sasazawa Y, Furusawa Y, Obata Y, Fukuda S, Saiki S, Matsumoto M, Hase K
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 12 ページ: 2105

    • DOI

      10.1038/s41467-021-22212-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 腸内細菌叢と宿主の共役的なポリアミン代謝は大腸の上皮増殖とマクロファージ分化を調節する2021

    • 著者名/発表者名
      中村篤央,栗原新,松本光晴,長谷耕二
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2021年度大会
  • [学会発表] 腸内ポリアミン産生誘導が若齢マウスの学習記憶に与える影響2020

    • 著者名/発表者名
      生田かよ,玉田葉月,松本光晴,掛山正心
    • 学会等名
      第74回 日本栄養・食料学会大会

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公開日: 2021-12-27  

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