研究課題/領域番号 |
20H00583
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鬼塚 真 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (60726165)
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研究分担者 |
佐々木 勇和 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教 (40745147)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グラフ / グラフマイニング / グラフ生成 / グラフ埋め込み / リンク予測 |
研究実績の概要 |
課題1:1)グラフデータ処理の基礎問題であるシュタイナー木を高速かつ高精度に列挙可能なアルゴリズムに関してCIKM採択.本技術は二分決定図を大規模グラフに適用可能なように重要なグラフ構造を事前に特定することで,二分決定図の構築コストを抑え高速性と高精度を両立した.2)サブグラフマッチングのマッチ条件を緩和させた一般化問題であるサブグラフ編集距離問合せに関する研究を実施し国際会議投稿準備中.本技術の特徴は問合せグラフとデータグラフ上の経路を比較することでサブグラフ編集距離の上限値と下限値を計算し,不要な計算を枝刈りし高速化することである.3)失敗パターンの活用によるサブグラフマッチングの高速化技術に関して国際会議投稿中.本技術の特徴はサブグラフ同型の制約条件を満たさない失敗パターンを記録することで不要な探索を除外する点にある.4)属性付き人工グラフ生成器を開発しInformation Systems に採択.
課題2:1)人工グラフ生成器を用いてgraph neural network(GNN)の性能を評価するベンチマークを開発し最新のGNNの特性を解明した(NeurIPS, ECML/PKDD採択).2)GNNを高スケール化・高速化する自動変換フレームワークを開発(ECML/PKDD採択).本技術の特徴はGNNアルゴリズムを解析することで,特徴量集約の処理を事前処理し更に大規模グラフを適切な粒度で分割しGPU計算可能にした点にある.3)将来のグラフ全体を高精度に予測する技術を開発しACLに採択.本技術では新たな節点の予測に加えて予測要素間の依存関係を利用することで高精度な予測を可能とした.4)グラフ上の頻出な経路パターンを検出し,経路パターン間の関係性を評価する技術を開発し国際会議投稿準備中.本技術では経路パターンに着目しスケーラブルかつ高速なマイニング技術を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載の通り2つの研究課題に対して,合計で国際論文誌1件,国際会議6件 (最難関会議NeurIPS,ACL,CIKM,ECML/PKDD 2件を含む)に採択されている. また,課題1の失敗パターンの活用によるサブグラフマッチングの高速化技術に関しては国際会議SIGMODに投稿中(採択予定)であり,研究全体を通じて総じて順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
課題1の高速なグラフデータベースエンジンの開発に関して,昨年度開発した連言経路問合に適した索引を活用したクエリ処理アルゴリズムおよび索引メンテナン ス技術を開発する.さらに,機械学習技術を活用したグラフ問合せのカーディナリティ推定技術を開発する. 課題2の高精度なグラフマイニングを実現するグラフ埋め込みの開発に関して,複数のデータセットを用いた高精度なGNNアルゴリズムを開発する.更に,時間変化するグラフに対するGNNアルゴリズムのベンチマークを策定し,これらの最先端アルゴリズムを評価し性能特性を明らかにする予定である. 課題3の時間変化を捉えたグラフ処理の高速化に関して,評価実験を完成させ国際会議に投稿予定である. また全課題を通して論文投稿中および投稿準備中の研究成果に関しては,論文採択を目指す.
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