研究課題/領域番号 |
20H00609
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
横尾 真 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (20380678)
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研究分担者 |
神取 道宏 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (10242132)
田村 明久 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (50217189)
関口 格 京都大学, 経済研究所, 教授 (20314461)
牧野 和久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (60294162)
川越 敏司 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (80272277)
鹿島 久嗣 京都大学, 情報学研究科, 教授 (80545583)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゲーム理論 / 人工知能 / 最適化 / 機械学習 / 実験経済学 |
研究実績の概要 |
2020年度には,10件の論文出版と,19件の学会発表(うち,招待講演5件)を行った. マッチンググループでは,従来は部分問題に分割して考察されてきた3者間(例.学生ープロジェクトー研究予算)のマッチングを,一つの問題として解くことに取り組んだ.公平性と割当効率性が一般的には両立不可能であることを示したほか,弱められた公平性・割当効率性を満足する耐戦略的なメカニズムを設計し,その性能を実験によって評価した.本成果は,国際会議 AAMAS-20 にて報告した. オークショングループでは,研究代表者による既存研究である,情報伝播を伴うオークションから着想を得て,金銭による効用譲渡を用いない資源配分メカニズムにおける情報伝播の動機付けに取り組んだ.詳細には,既存の資源配分メカニズムであるトップトレーディングサイクルアルゴリズムを修正し,ある種の安定な資源配分を出力するメカニズムを設計した.本成果は,AAMAS-21 にて報告した. 人工知能/最適化グループでは,研究代表者が90年代に提唱した分散制約最適化問題(Distributed Constraint Optimization Problems, DCOPs)のフレームワークに,変数の連続性を許す修正を施した, Continuous DCOP (C-DCOP) を提案した.一部の C-DCOP 問題に対する厳密アルゴリズムを提案したほか,一般の C-DCOP 問題に対しては保証付き近似アルゴリズムを提案した.本成果は,国際会議 AAMAS-20 にて報告した. 行動/実験経済学グループでは,課徴金減免制度(リニエンシー制度)の改正に関する講演を行った.また,不確実性下での意思決定に関する一般向け書籍を出版した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
COVID-19の影響により,学会発表が延期になるなどのアクシデントはあったものの,理論研究自体はほぼ当初の予定通りに進み,人工知能分野において影響の大きい難関国際会議録・論文誌から,数多くの研究成果を出版することに成功した.また,当初の予定にはなかった,研究代表者の既存研究を発展させる研究が,オークション・人工知能の各グループで進展したことは,計画を超える研究成果である.
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今後の研究の推進方策 |
計画最終年度となる2022年度には,引き続き各グループで理論的検討を進めるとともに,実験経済学グループ主導による被験者実験を行う. マッチンググループでは引き続き,資源制約のあるマッチング問題について,耐戦略的なメカニズムの設計を行う. オークショングループでは,ソーシャルネットワーク上の資源割当問題について引き続き研究を行う. 人工知能/最適化グループでは,敵対者が存在する場合のMaxSAT問題についての理論的検討を継続する. 行動/実験経済学グループでは,COVID-19 の感染拡大状況に注意を払いつつ被験者実験を進め,理想化されたエージェントの戦略と実際の人間の行動との差異について吟味する.
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