研究課題/領域番号 |
20H00610
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田原 健二 九州大学, 工学研究院, 教授 (80392033)
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研究分担者 |
入澤 寿平 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30737333)
木野 仁 中京大学, 工学部, 教授 (50293816)
佐藤 訓志 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (60533643)
舛屋 賢 宮崎大学, 工学部, 准教授 (60796358)
高木 賢太郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60392007)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 人工筋肉 / 可逆モデル / 硬化阻害 |
研究実績の概要 |
本年度は,まず,ナイロン糸人工筋肉アクチュエータの可逆的な熱膨張/収縮モデルについて,ミクロな観点から構築することに成功した.これにより,ナイロン糸人工筋肉が除熱した際に何故元に戻るのかについて,その理由の解明に大きく前進した. また,硬化阻害だけでなく,内部の骨格と外部のシリコンカバーを別々に製作して組み合わせる手法で柔軟指を作成する手法を確立し,その手法を用いて作成した柔軟指を2本用いて,物体把持を行う事に成功した.製作した指はそれぞれ3関節を拮抗筋2本で駆動する劣駆動指となっており,カメラを用いた角度計測による関節角度フィードバックを用いて,対象物を2本指でつまみ上げた.この実験結果はl,ROBOMECH2022で発表している. また,ヒトの手指構造を機械的に再現する場合,剛性材料(骨格)と柔軟材料(表皮)のハイブリッド構造が考えられるが,構造部品同士が摺動する際に,柔軟材料の凝着によるクーロン摩擦が力の伝達効率や制御性を低下させる問題がある.この問題に対して,表皮形成時に骨格との境界の適所に液状層を発生させることで凝着を抑制し,ロボット指の機能を向上させることに取り組んだ.本手法については,SI2021において発表している. さらに,高分子繊維アクチュエータ,いわゆる釣糸人工筋アクチュエータについて,最適な(変位量が最大となる)作製方法について検討を行った.その結果,ヒートセット前後に加える荷重の違いが,変形量に大きく寄与することがわかった.このことはこれまで知られておらず,またコイル形状の釣糸人工筋アクチュエータの動作メカニズムに迫るものである.また,釣糸人工筋と誘電エラストマセンサの複合化についても検討を行い,張力計測の可能性を示した.アクチュエータだけでなくセンサも含めてすべてが高分子でできた柔軟ロボットの実現に向けた初期的成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により対面での実験や打合せが大幅に減り,予定よりも進捗がやや滞っている.理論的研究はそれぞれの拠点で進められており,大きくは遅れていないが,共同で実施する予定であった実験が行われていないため,その部分についての遅れがある.しかし,コロナ禍について22年度は状況の大幅な改善が見込まれており,最終的な進捗については問題ないと考えている..
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今後の研究の推進方策 |
これまで通り,アクチュエータ単体の収縮機構のミクロ・マクロメカニズムの解明を行うと共もに,アプリケーションについても具体的に検討していく.
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