研究課題/領域番号 |
20H00627
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高田 秀重 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70187970)
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研究分担者 |
中田 典秀 神奈川大学, 化学生命学部, 准教授 (00391615)
小島 弘幸 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (10414286)
内田 圭一 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50313391)
水川 薫子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (50636868)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 環境ホルモン / マイクロプラスチック / 廃棄物埋立処分場 / 浸出水 / BPA / ビスフェノール / ベンゾトリアゾール / ノニルフェノール |
研究実績の概要 |
2002~2021年に毎年東京港のレインボーブリッジ下で採取した試料のフェノール系内分泌攪乱化学物質を分析した。アルキルフェノール類は減少傾向を示した。20年で10%程度に濃度が減少した。ビスフェノールA(BPA)濃度は、ここ20年、ほぼ横ばいであった。使用量は2008年をピークに2割程度減少しているが、それに対して環境中の濃度がほぼ横ばいということから、廃棄物埋立処分場浸出水等の負荷が続いている可能性が考えられた。紫外線吸収剤については、規制が行われているUV-328, UV-327はここ20年ほぼ一定の汚染あるいはやや減少していた。一方、未規制のUV-326, UV-329, UV-P, UV-324については経年的に増加傾向を示した。 マレーシア、インドネシア、フィリピンで採取された廃棄物埋立処分場の浸出水中のフェノール系内分泌攪乱化学物質と女性ホルモン類の化学分析およびバイオアッセイ(レポーター遺伝子アッセイ法)を用いたエストロゲン活性の測定を行った。化学成分の測定から計算したエストロゲン活性とバイオアッセイによるエストロゲン活性はオーダーレベルで一致していた。浸出水中から高濃度(2 mg/Lから27 mg/L)のBPAが検出され、浸出水抽出物のエストロゲン活性の半分以上を占める場合もあった。その他のBPF, BPS等のビスフェノール化合物、ノニルフェノール、UV-P、UV-234、BP-12などの添加剤も検出された。他の添加剤に対してBPAがプラスチック製品と比べて高濃度になる傾向やごみの受入が終了した処分場でBPAが高濃度になる傾向から、埋め立てられたポリカーボネートやエポキシ樹脂が分解してモノマーのBPAを生成している可能性が示唆された。一方、いずれの処分場の浸出水からも、女性ホルモン類が比較的高濃度で検出された。下水汚泥の搬入などの負荷源が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
河川水、下水処理水、堆積物中の内分泌攪乱化学物質の測定は進み、フェノール系内泌撹乱化学物質の汚染実態を明らかにし、経年変化を明らかにしてきた。一方で、廃棄物埋立処分場浸出水の分析から、埋め立てられているプラスチックからのビスフェノールAの生成・環境負荷の重要性が示され。堆積物の分析により明らかにされたビスフェノールAの環境汚染レベルが低減しないことと、埋め立てられているプラスチックの寄与のつながりが示唆されてきた点は科研費の目的に合致しており評価される。一方、環境試料の分析が遅れており、仮説の実証が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究全体をまとめるために必要な試料(日本の廃棄物埋立処分場の浸出水を受け入れている下水)の採取を進め、これまでに採取されている試料(海外の廃棄物埋立処分場の浸出水)と合わせて分析を行い、研究全体をまとめていく。
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