研究課題/領域番号 |
20H00628
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
植村 立 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00580143)
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研究分担者 |
阿部 理 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (00293720)
浅海 竜司 東北大学, 理学研究科, 准教授 (00400242)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 鍾乳石 / 氷期 / 安定同位体 / 流体包有物 / 酸素同位体 / 古気候 |
研究実績の概要 |
本計画では、主に沖縄地域の洞窟内で鍾乳石を掘削し、鍾乳石コアを採取することで、連続・高時間分解能の環境・気候変動のデータを得る。さらに、鍾乳石内に閉じ込められた流体包有物の同位体比分析をおこなうことで定量的な気候復元を行う。 具体的な研究は以下の2点について実施した。 (1)洞窟内でのボーリングコアを掘削:本年度は、沖縄本島南部の玉泉洞および周辺洞窟において掘削を実施した。今回の掘削の主な目的は古気候復元に適した試料を得られる地点の探索である。新型コロナウィルス感染症対策と緊急事態宣言等によって、掘削の実施は延期されたものの12月に実施することができた。8か所でのコア掘削と数個の石筍採取を行った。多くの掘削地点ではコア掘削作業は順調だったものの、試料の質にはやや問題(密度が低い、多孔質、泥層が含まれる等)が認められた。古気候に非常に適したコア試料はリムストーンを掘削した1試料と破損していた石筍を掘削した1試料の計2試料であった。そのほかの石筍試料も古気候試料として適している。コア試料の切断作業の実施も緊急事態宣言等によって翌年度に遅延したものの実施することができた。これらの掘削の結果をうけて、計画通り来年度も掘削を実施することとし、掘削地は第二候補の洞窟に変更することとした。 (2)同位体・化学分析による気候変動データ 掘削試料が得られるまでの間は、試料の分析に適した各分析システムの改良を進めた。流体包有物の分析システムは、高速処理を目指した改良を随時進めた。水蒸気連続フロー式のシステムを構築し、分析時のメモリー効果が無くすことに成功した。この結果、処理速度は格段に向上した。また、得られた試料の年代をウラン・トリウム法による放射性同位体分析によって実施した。掘削で得られた8試料について、シンガポール南洋工科大学に於いて分析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症対策と緊急事態宣言等によって、掘削や切断作業の遅れは発生したものの、コア掘削は成功し、試料も得ることができた。炭酸カルシウムの酸素・炭素同位体比測定は機器の不調などもありやや遅延した。流体包有物の分析装置の改良は順調に進んだ。これらを総合的に判断して、「おおむね順調」とした。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、より長い鍾乳石コアを得るために第二候補の洞窟(南大東島)で掘削を行うことを計画している。流体包有物の分析装置には参照試料を自動測定するためにオートサンプラーを組み入れる。また、本年度の試料の前処理と分析を進める。
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